国の防火事業、実施2市のみ ビル改修、8割が検討せず

防火改修支援制度の実施、検討状況

 26人が犠牲になった大阪・北新地ビル放火殺人事件を受け、国が始めた避難経路確保のための防火改修支援制度の事業を実施しているのが全国で2市にとどまることが6日、国土交通省への取材で分かった。共同通信の調査で都道府県庁所在地と政令指定都市の8割が実施を検討していないことも判明。現場ビルと同様、階段が一つで火災被害が拡大しやすい「特定一階段等防火対象物」は全国に約3万棟あり、事業対象にも多い。17日で事件発生から2年。対策が浸透していないのが実情だ。

 国土交通省によると、制度は本年度に開始。対象は階段が一つしかないか階段などに防火・防煙対策がされていない3階以上の建物。実施は京都市と大阪市のみで、共同通信は2市を含む都道府県庁所在地(東京は新宿区)と政令市の計52市区に11月1日時点の実施・検討状況を尋ねた。

 その結果、42市が「検討していない」と回答。理由を分析すると(1)対象や相談などがないか少ない(17市)(2)他都市の事例を参考にしたい(10市)―などとなった。

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