岸壁3割以上延伸で工期4年遅れ 水島港物流ターミナル整備事業

想定を超える船舶の大型化を踏まえ、国が物流ターミナル整備事業の計画を見直す倉敷市の水島港。矢印は岸壁を延伸する箇所(国土交通省中国地方整備局提供)

 倉敷市の水島港で国が進めている国際物流ターミナル整備事業で、船舶が接岸する岸壁の長さを当初計画より3割以上も延伸する必要が生じ、工期が4年遅れて2029年度の完了見通しとなったことが6日、国土交通省への取材で分かった。ターミナルに着岸する国内輸送用の船舶が想定を超えて大型化していることに対応する。総事業費は資材費の高騰分も含めて約100億円増え、約369億円に膨らむ見込みだ。

 水島港は11年度、国がばら積み貨物の拠点港「国際バルク戦略港湾」に選定し、穀物の輸入拠点として一帯には関連事業者が集積する。物流ターミナルは17年度から水島地区と玉島地区でそれぞれ整備が進められ、共同輸送でコストを抑えられる大型船に対応した岸壁や航路を造成。玉島地区は20年度に既に完成し、水島地区も25年度に工事を終える予定だった。

 計画を見直したのは水島地区内の塩生埠頭(ふとう、同市児島塩生)。近年、埠頭から国内に出荷する船舶の大型化が加速しており、当初想定していた積載量千トン級を上回る船が増加し、本来の係留スペースでは窮屈になっている。やむなく輸入船用の接岸場所に係留するケースもあり、停泊時間の調整などで利便性の低下が懸念されるという。

 国交省はこうした状況を解消するため、積載量2千トン級の国内船を受け入れられるスペースの整備が必要と判断。岸壁の長さを当初の320メートルから100メートル延伸し、運搬用のベルトコンベヤーを拡張する。

 計画変更について国交省は「当初はここまでの船舶の大型化を見通すことは困難だった」と説明。事業費が膨張する一方、一連の事業が完了すれば年間約34億円の輸送コストが削減できると試算しており、穀物を原料とする製品の価格も抑えられるとする。

 国交省中国地方整備局は「物価高騰の折、燃料費の削減が見込めるターミナル整備事業は重要性を増している。少しでも早く使いやすい港となるよう事業を進め、一帯の活性化につなげたい」としている。

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