立川祐路の“思ってたんと違う”引退生活「辞める前より忙しい」

 12月6日から鈴鹿サーキットで始まった全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同/ルーキーテスト。多くのルーキードライバーや、新たな環境でテストに臨むドライバーが多いなか、注目されているのがP.MU/CERUMO・INGINGから参戦する大湯都史樹だ。

 2023シーズンはホンダ陣営のTGM Grand Prixから参戦した大湯は、2024年の去就を含めて話題を集めているが、今回のテストに臨む意気込みについては別記事で報じたとおり。取材班はさらに、このテストで大湯を迎え入れる立場となった立川祐路監督に、大湯の印象を聞いた(取材は搬入日に実施)。

 今回のテストで大湯に期待することを問うと、「ウチはしばらく坪井(翔)、(阪口)晴南でやってきましたけど、(大湯は)他のチームのクルマも知っているドライバーなので、そういったところとの違いとか、新しい発見や意見とかがあればウチにもプラスになるなと思います」と立川監督。

 大湯といえば、コース上での速さだけでなく、マシンから降りている際のキャラクターも際立つドライバーだ。その部分について立川監督は「以前にも少しは話をしたことがあるんですけど、人としては(世間的な)印象よりもしっかりしていると思いますし、至って“普通”」とその印象を語った。

 すでに自身のXには大湯とのコミュニケーションが良好そうな様子も投稿しており、今回のテスト参加がチームにとってどう作用していくのかが、興味深いところだ。

 ところで立川監督といえば、2023シーズン限りでスーパーGT・GT500を引退。それから1カ月ほどが経過したわけだが、まだ“実感”は湧いてこないのだという。その理由は、「忙しいから」。

「いまのところ何か生活が変わったとか、そういうのはないです。この1カ月、いままで以上に忙しいので」という。各種イベントに招かれては引退を労われ、花束を受け取り……という状態が続いており、立川はそれを「引退バブルです(笑)」と冗談めかす。

「なぜか分からないけど、辞める前よりも仕事が忙しい、っていう(笑)。そこは思ってたのと違うところ。本当はしばらくは家でゴロゴロとのんびりしようと思ってたんですが、『あれ? 忙しいぞ?』と」

 今回の鈴鹿テストは長年監督を務めているフォーミュラの現場ということで、自身のポジションなどに変化はないが、今後スーパーGTのオフテストが始まると、その心境には変化があるのではないか、と予測している。

「来年になってGTのテストが始まって、『みんなが走っているのに、自分は走らない』という状態になったら、そこから寂しい思いが出てくるんじゃないですかね。いまはまだ、“寂しい”という感覚はそんなにないです。最終戦のときの方が、そう感じましたけどね。セレモニーのときとか、チェッカー受けてから車両保管(場所)まで帰ってくるときとか」

“GTドライバーではなくなった立川祐路”。その第二の人生は、まだ始まったばかり……といったところだろうか。

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