「死にものぐるいで練習してきた」西郷真央がどん底から米ツアーへ

米女子ツアーへの切符を手に入れた西郷真央(撮影/桂川洋一)

◇米国女子◇Qシリーズ(最終予選会) 最終日(6日)◇マグノリアグローブGC(アラバマ州)◇クロッシングコース(6664yd、パー72)

108ホールの戦いは悪天候による前週2日(土)の順延を挟んで、7日間に及んだ。「もうやっと終わった…という感じです。本当に気を抜かずにやっていた。やっと終わって良かった」。初日から上位を走り続け、2位で米ツアーへの切符を獲得。周囲から見れば、西郷真央には余裕があったようで、緊張感はホールアウトまで保たれたままだった。

若くして志した米ツアー進出の夢。思えば、ここまでは想定外と苦労の連続だった。2019年にプロ転向。「やっぱり早くアメリカ行きたい思いもあった。ただ、コロナ禍でなかなか国内ツアーがなかったり、いろんなイレギュラーなことも起こった」。今回、初挑戦した最終予選会は「自分が思っていた時期よりも遅れたQシリーズの戦いではあった」という。

一緒に戦った仲間と(撮影/桂川洋一)

昨年末の国内ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で通算35オーバーをたたき、大スランプに陥った。試行錯誤を繰り返し、今季は準備が整う前と知りながら、海外で試合があると知れば、スポットで米ツアーやメジャーに足を運んだ。8月に滑り込みで出場した「AIG女子オープン」(全英女子)で、「最終日にスコアを伸ばせた(67)のが、今にもつながっている」と一つひとつの苦労が無駄でなかったと思える。

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練習の虫が「クラブを握らなかった」あのときから1年。6日間アンダーパーを並べ続けて通算26アンダーで終え、夢の扉をたくましく開いた。

苦労して手に入れたツアーカード(撮影/桂川洋一)

セレモニーでツアーカードを手渡され、ようやく満面の笑みになった。「周りから見たら、(復活が)早かったと思われると思う。ただ、やっぱり本当に死にものぐるいでたくさん練習してきた」という言葉に偽りはない。「練習の成果を、自分が本当に大事にしているところで結果につなげられたのはすごく大事なこと。また成長していく上で、いろんなことがあると思うんですけど、変わらず練習は本当に頑張ってやっていきたい」

苦労してきた実感が言葉にこもる(撮影/桂川洋一)

帰国すれば、師匠のジャンボ尾崎が待っている。「また次の課題に向けて『アメリカツアーで優勝できるように頑張りたい』と報告したいです」。長い戦いはこれから。予選会を通過したルーキーの前にはまず、1年を通して出場資格を守るサバイバルが待っている。「あくまでスタートラインに立っただけ。自分がどれだけ成長していけるか」。一度はどん底を向いた視線が、高く上がった。(アラバマ州モービル/桂川洋一)

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