諫干営農者損賠訴訟が結審 来年4月17日に判決

 国営諫早湾干拓事業の干拓地に入植した営農者らが農業被害を受けたとして、国や県、農地を所有する県農業振興公社に計6300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が6日、福岡高裁(久保田浩史裁判長)であり、営農者側が意見陳述した。国などは営農者側の請求棄却を求める書面を提出し、即日結審した。判決言い渡しは来年4月17日。
 意見陳述したマツオファーム(島原市)の松尾公春社長は、結審後の集会で支援者に「入植者は作物を替え、設備投資をして何とかやっている状況。農家の実態を見て対策をしなければもっと被害が出る。いい判決を出して農家を助けていただきたい」と訴えた。
 原告は諫干農地で営農が始まった2008年に入植した3社・1人(うち1社・1人は13年に撤退)。一審長崎地裁判決は、撤退した原告1人への営農妨害を認め、約49万7千円を支払うよう公社に命じた。しかし、潮受け堤防閉め切りや調整池造成に起因してカモ食害や寒害、高温障害が生じたなどとする訴えや、同事業を巡る一連の裁判で営農者としては初めてだった開門請求についてはいずれも退けた。判決を不服として営農者、公社双方が控訴している。

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