銀山温泉とは?
Photo by pixta
銀山温泉は日本の東北地方・山形県の山間部にある温泉地です。山々に囲まれた小さなこの街は、17世紀に銀の採掘地として栄え、それが銀山温泉の名前の由来となりました。
レトロな街並みが白銀に染まる冬の雪景色はノスタルジックな雰囲気たっぷりで、訪れる人々を魅了します。
銀山温泉は世界約70カ国以上で放送された人気ドラマ『おしん』の舞台でもあります。また最近は、街に立ち並ぶ温泉旅館の風情がジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋の雰囲気にそっくり! といわれており、映画ファンにも必見の温泉地です。
目次
- ・
- ・
- ・
- ・
- ・
東京から銀山温泉へのアクセス
銀山温泉は山形県尾花沢市(おばなざわし)の山あいにあります。電車とバスを乗り継いでアクセスするのが一般的です。
メインは新幹線と路線バス
東京から新幹線で銀山温泉へ行くには、東京駅からJR山形新幹線に乗り大石田駅で下車します。大石田駅からは銀山温泉行きの路線バス「銀山線」へ乗り換えましょう。
銀山温泉行きのバスは1日5本あります。所要時間は全部で約4〜5時間、料金は新幹線とバスをあわせて片道13,040円です。
交通費を抑えたい方は夜行バスがオススメ
また、東京・浜松町バスターミナルから夜行バス・TOKYOサンライズが出ています。夜行バス料金は時期によって変動しますが、料金の目安は片道5,000円程度。
夜行バスは6:00ごろに尾花沢待合所駅に到着しますので、そこから徒歩数分の尾花沢市役所バス停に移動しましょう。バス停から6:40出発の路線バス「銀山線」に乗り、銀山温泉を目指します。
温泉街を散策しよう! フォトスポットや見どころ
Picture courtesy of 公益社団法人 山形県観光物産協会
温泉街の中心を流れる銀山川に沿うように、昔ながらの旅館が立ち並び、100年以上前の景観を今に受け継いでいます。夜はガス灯にオレンジ色の灯りがつき、とくにロマンチックな雰囲気。ぜひゆっくりと街歩きを楽しみましょう。
フォトジェニックなスポットがいっぱい!
1920年代に建てられた旅館が軒を連ねる銀山温泉は、街全体がフォトジェニック! せっかくなら、その時代の衣装に着替えて散策しませんか?
Picture courtesy of 公益社団法人 山形県観光物産協会
当時の若い女性の定番衣装といえば、袴。「銀山温泉 古勢起屋 別館」内にある貸衣装店「あいらすげ〜な」には華やかな柄の袴が種類豊富に用意されています。
男性用衣装もあり、お店の方がきれいに着付けしてくれるので安心です。下駄や籠バッグなどの小物もついた「変身コース」が60分2,000円。16:00以降は「夜歩きコース」で3,000円です。
銀山温泉 古勢起屋 別館 あいらすげ〜な
住所:山形県尾花沢市銀山温泉417 Google Map
公式HP:https://www.kosekiya.jp/
Picture courtesy of 山形県
また、街歩きで足をとめて見てほしいのが、旅館の外壁に飾られたカラフルなレリーフ。鏝絵(こてえ)と呼ばれるこのレリーフは、左官職人(※1)の熟練の技でつくられる漆喰の芸術。
鮮やかな色彩と立体感が特徴で、旅館の名前や花鳥風月、縁起のよいモチーフがよく描かれています。数多くの鏝絵が一箇所に集まる街は、日本国内でも珍しいものです。
※1:左官職人……建物の壁を塗る職人のこと。
温泉街の愛されグルメ
Picture courtesy of 伊豆の華
旅の楽しみのひとつはその土地ならではのおいしいグルメ! まず立ち寄りたいのは、地元で収穫されたそば粉を使った手打ちそばを食べられる「伊豆の華」。140年以上前の古民家を再利用した食事処です。
人気の「揚げ茄子おろし蕎麦」(税込1,430円)は冷温どちらでも楽しめます。
Picture courtesy of 伊豆の華
お洒落な店内はカフェとしても利用可能。さっぱりとした甘さが湯上がりにぴったりな「蕎麦ソフト黒みつきなこがけ」(税込980円)は、そばの実が香ばしく、黒蜜(※2)との相性抜群です。
Picture courtesy of 株式会社明友
そして銀山温泉名物として外せないのは、カフェ「はいからさん通り」の名物商品「はいからさんのカリーパン」(税込230円)。
国産小麦を使用して焼き上げたこちらのカレーパンは、もっちりとした生地にスパイシーなカレーがたっぷりつまっており、そのおいしさに夕方には売り切れてしまうと噂の人気商品。お買い求めはお早めに!
※2:黒蜜…黒砂糖を煮詰めた液状の甘味料。日本のスイーツによく使われる。
日帰り観光は立ちより湯で温泉を満喫!
老舗の温泉旅館が軒を連ねる銀山温泉ですが、街中には誰でも立ち寄り利用できる共同浴場があります。
Picture courtesy of 銀山温泉観光協会
黒板の縦格子で覆われた2F建ての共同浴場「しろがね湯」は、日本を代表する建築家のひとり隈研吾(くまけんご)氏のデザインした唯一の共同浴場として話題を集めました。
入浴料は大人500円、小学生以下200円で、9:00から16:00(最終受付15:30)までの営業です。脱衣所はありますが、コンパクトな共同浴場は荷物を最小限にして行くのがオススメです。
そのほか、50分2,000円で貸し切りできる「おもかげ湯(※現在休止中)」もあり、こちらはカレーパンが人気の「はいからさん通り」が窓口です。
また、老舗温泉旅館の「瀧見館」のお風呂も日帰り入浴が利用可能です。入浴料は大人1,000円、子ども500円。営業時間は11:00から14:00までです。源泉工事などで営業時間が変わることもありますので、事前にチェックして向かいましょう。
川のほとりの足湯でひと休み
Picture courtesy of 尾花沢市
もっと気軽に温泉を楽しみたいなら、街の中心を流れる銀山川に面した足湯「和楽足湯(わらしゆ)」がオススメです。
誰でも無料で利用できるこの足湯は、利用者がゆったりとくつろげるようにベンチの高さや足湯からの眺めにも、工夫を凝らしてつくられています。
1泊してのんびり過ごそう
銀山温泉の旅館のなかでもひときわ目を引く「能登屋旅館」。Picture courtesy of 公益社団法人 山形県観光物産協会
銀山温泉には13軒の旅館があり、その趣きは旅館ごとにさまざま。宿泊料金は各旅館の部屋のグレードやシーズンによっても変わってきますが、目安は1泊2食付きで1名15,000円程度です。
昔ながらの日本旅館では1室2名以上での宿泊が定番のスタイルのため、一人旅の場合は要注意! 事前に旅館に相談するのがベターです。
ここではオススメの宿を紹介します。
レトロモダンを満喫する温泉旅館「古勢起屋 別館」
Picture courtesy of 古勢起屋 別館
「古勢起屋(こせきや)別館」は温泉街の中心に位置する木造5F建ての旅館です。山側と川側にそれぞれ客室があり、異なる景色を楽しめます。
Picture courtesy of 古勢起屋 別館
館内には「ほっこりのちか湯」と「ぬっくりの金太郎湯」と名付けられたふたつのお風呂があります。最上階には「浪漫客室」という畳敷きにベッドを配置した隠れ家風の客室もあり、ほかの客室と異なり室内トイレも完備。
Picture courtesy of 古勢起屋 別館
露天風呂はありませんが、姉妹旅館の「銀山荘」の露天風呂を利用できるので、お見逃しなく。銀山荘は温泉街から徒歩約5分の距離にあり、現代的な洗練された雰囲気が特徴です。
源泉掛け流しの温泉でゆったり羽をのばすのは、なんといっても最高のひとときです。
古勢起屋 別館
住所:山形県尾花沢市銀山温泉417 Google Map
公式HP:https://www.kosekiya.jp/
非現実空間を心ゆくまで堪能「藤屋」
Picture courtesy of 藤屋
老舗旅館のおもてなしと、建築家・隈研吾氏の手がけた洗練された和モダン空間を堪能できる温泉旅館です。竹や和紙をふんだんに取り入れた内装は、こだわり抜いた照明と合わさり圧巻の美しさ。
Picture courtesy of 藤屋
宿泊客だけが利用できるお風呂は石風呂・半露天風呂・竹風呂と異なるテーマで5つ作られており、どのお風呂も貸切で使用できます。
東北地方の旬の食材を使った上品な料理は目にも楽しいもの。朝と夜の食事もすべて客室でいただくことができるので、プライベートな時間を贅沢に楽しめるのが魅力です。
総客室数はわずか8室ですので、オンシーズンはとくに早めの予約がオススメです。
藤屋
住所:山形県尾花沢市大字銀山新畑443 Google Map
公式HP:http://www.fujiya-ginzan.com/
四季の山々を望む宿「瀧見舘」
Picture courtesy of 瀧見館
温泉街の中心地から少し離れた「瀧見舘」。その魅力はなんといっても見晴らしのよさ。客室や大浴場からは四季折々に移り変わる山の景色を眺めることができます。
とくに、広々とした露天風呂からの眺めは開放感があり「これぞ日本の温泉」といった風格。
Picture courtesy of 瀧見館
温泉街の中心にそば処を営業しており、創業当時はそば処に宿泊施設を併設していたそう。そばの名産地として知られる山形で、地元産のそば粉にこだわった手打ちそばは、シンプルで丁寧な味わいが評判です。
宿泊時の食事はいくつかのプランから選ぶことができ、そばはもちろんのこと、山形牛や尾花沢牛といった地元の絶品素材をとことん楽しめるメニューが人気です。
瀧見舘
住所:山形県尾花沢市銀山新畑中山522 Google Map
公式HP:http://www.takimikan.jp/
涼しげな川辺の散策には夏がオススメ!
雪景色が人気の銀山温泉ですが、新緑の美しい夏もまた風情があります。例年5月中旬以降には銀山川に沿って設けられた散策路も開かれます。
また夏は、銀山温泉のある尾花沢市一帯でスイカの収穫時期。寒暖の差の大きい東北の盆地だからこそ収穫できる甘くて瑞々しいスイカをぜひ試してみてください。
踊り手と観客の一体感が清々しい「花笠踊り」
Picture courtesy of 尾花沢市
花をあしらった笠を手に踊る花笠踊りは、山形県の伝統芸能。5月〜10月の毎週土曜日の夜、銀山川に架かる橋の上でこの花笠踊りが見られます。
勢いよく笠を回す躍動感ある踊りには、観客からの手拍子と「ヤッショーマカショ!」の合いの手がおなじみです。
湯上がりには森林浴でリフレッシュ!
銀山温泉の温泉街をぬけ、川沿いの散策路のある一帯は「白銀公園(しろがねこうえん)」と呼ばれています。昔ながらの石橋や渓流、落差22メートルの白銀の滝などがあり見どころ豊富。
その奥には銀の採掘跡地である「おもかげ園」があり、旧銀山の坑道のおもかげがそこかしこに残ります。
白銀公園
住所:尾花沢市銀山温泉 Google Map
公式HP:http://yamagatakanko.com/spotdetail/?data_id=4182
冬は立ち入り禁止の「延沢銀山廃坑洞」を探索
Picture courtesy of 銀山温泉観光協会
冬は積雪のため白銀公園一帯は閉鎖されてしまうため、銀山の跡地「延沢銀山廃坑洞(のべさわぎんざんはいこうどう)」を見学できるのは、5月以降の暖かい季節に訪れた人だけの特権。
坑道から冷気が吹き出し「夏知らず」と名付けられた坑口や、幻想的な採掘跡地も散策することができ、ダイナミックな景観は感動ものです。
銀山温泉は「ここにしかない」の連続
雪国ならではの美しい街並みはもちろんのこと、古きよき日本旅館の風情や、ご当地グルメ、四季折々の自然美も含めて、銀山温泉へ足を運んだ人にしかわからない魅力がいっぱいあります!
東北地方へ行くなら、ぜひ足を伸ばしてみてください。
元記事執筆:Yumiko Delor
※本記事は2017年3月19日に公開した記事をリライトしたものです。