レンタカー&カーシェアリング市場に関する調査を実施(2023年)~国内レンタカー市場規模は2030年に1兆円超、カーシェアリング市場は1,500億円超へ、レンタカーは訪日外国人客需要、カーシェアリングは新規参入増加なども市場成長を後押し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のレンタカー&カーシェアリング市場の調査を実施し、現況や参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

1.市場概況

レンタカーについては、国土交通省によると、2022年3月末時点の国内のレンタカー車両台数(全車種車両数)は前年同期比16.3%減の64万6,815台で、大きく減少した。新型コロナウイルス感染拡大により、観光客の減少や外出制限によるレンタカーの需要減少を受けて車両稼働率が低下したため、余剰車両の処分を行って維持・管理コストの削減や事業利益率の改善を図る事業者が現れた。その結果、2021年3月末以降は2年連続でレンタカー車両数が減少したが、コロナ禍の行動制限が緩和されつつあることから2022年後半からは改善に向かっており、2023年以降のレンタカー車両数は増加していくと考える。

カーシェアリングについては、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団によると、2023年3月時点における国内のカーシェアリング車両数は56,178台であった。利用ニーズの拡大や参入事業者の増加で、統計を開始した2002年からプラス成長を維持している。しかし、レンタカー市場と同様にコロナ禍による外出制限、観光需要の減少、新車供給の停滞などを受けて増加率は鈍化している。なお、カーシェアリングも今後の需要回復が見込まれステーション数や車両数、会員数は2030年に向けて引き続き増加していくと考える。

2.注目トピック~レンタカーとカーシェアリングの1回あたりの平均利用料金は、レンタカーが11,185円、カーシェアリングが5,957円~

国内消費者における近年のレンタカー、カーシェアリングの利用状況を分析するため、2023年8月に全国の20代から60代までの男女にインターネットアンケート調査を実施し、レンタカーの利用者11,506名、カーシェアリングの利用者1,581名から1回あたりの平均利用料金についての回答を得た。レンタカーの平均利用料金が11,185円、カーシェアリングの平均利用料金が5,957円となり、大きく差が開いている。

また、利用用途に関する追加調査を実施し、レンタカーの利用者およびカーシェアリングの利用者のうちそれぞれランダムに抽出した各500名から複数回答を得た。同調査結果によると、レンタカーの利用用途は旅行やレジャー等のイベントが主であった。カーシェアリングの利用用途は旅行やレジャー等だけでなく買い物などの日常使いの比率も高く、用途の違いが利用料金に影響していると推測される。

旅行・観光需要が回復に向かう中で、改めて客層や利用用途などを考慮して店舗や地域ごとに適切な車両配備を実施していくことが重要といえる。

3.将来展望

レンタカーについては、2023年からは訪日外国人客需要の増加や、個人・法人による利用ニーズが活性化されていることから、2023年のレンタカー市場規模は事業者売上高ベースで7,736億円と見込む。さらに、これらのニーズに加えて都市部の居住者増加などを背景に2030年には1兆826億円まで成長すると予測する。

また、2023年はコロナ禍以降に見直された自動車での移動の価値向上や行動制限・自粛の緩和を受けて、短時間利用に向いているカーシェアリングが存在価値を一層拡大したものと考える。事業者においても、稼働率向上を見据えた配車戦略やキャンペーンを打ち出すなどしていることから、2023年のカーシェアリング市場規模は事業者売上高ベースで772億3,600万円に拡大すると見込む。今後は主要都市以外への販路拡大や新規事業者の参入なども考えられ、2030年には1,562億7,100万円に拡大すると予測する。

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