コンビニジム「chocoZAP」が話題のRIZAP、株式市場のスター銘柄に戻れるか

最近、身近な友人の中で、「chocoZAP」に通う人が増えています。「chocoZAP」は、RIZAPグループ(2928)が運営する会員制のトレーニングジムで、”初心者でも通いやすいコンビニジム”がコンセプトです。

通常のジムとの違いは、トレーナーや受付がいないこと。無人のジムに、初心者でも使いやすいトレーニングマシーンが設置されており、月額2,980円(税抜)で利用できます。服装は自由なので、仕事の合間にサクっと立ち寄り、そのままの服装で10分程度運動していく人も多いそう。また、セルフエステやセルフ脱毛の美容機器が設置されており、わたしの友人は、むしろジムよりそちらが目当てのようです。


大幅な赤字転落となった2019年度に一体何が?

RIZAPといえば、著名人のビフォーアフターの変化が衝撃的で、一気に知名度アップ! 売上もうなぎのぼりで拡大し、2019年には過去最大の221,503(百万円)を計上しています。世間での認知が広まりはじめた2017年の株価は、1年で7.5倍上昇し、株式市場でもスター銘柄となりました。

ところが、最高売上となった2019年度の営業利益は、-1,196(百万円)と11期ぶりの大幅赤字転落となっています。いったい何があったのか当時の決算説明資料を確認しましょう。

画像:RIZAPグループ「2019年3月期 決算説明会資料

当時のRIZAPは、かなりのスピードで多種多様な業界企業のM&Aを進めていました。ところが、その中には赤字企業も多く当社の足枷となっており、それらを一気に売却したり整理したりと大胆な構造改革を行ったのが2019年度だったのです。そのため、それらの減損処理で赤字となりましたが、その後、2021年度には黒字に回復しています。

2023年3月期は戦略的な先行投資で赤字に

さて、chocoZAPを開始したのは2022年7月です。会員数は100万人突破とかなり好調のようですが、実際の業績はどうなのか気になります。直近の決算を見てみましょう。

画像:RIZAPグループ「2024年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

11月14日に発表された2024年3月期の第2四半期決算は、①売上収益は81,012(百万円)、②前年比5.3%、③営業収益ー5,791(百万円)と売上は前年比でやや伸びていますが、営業収益は大幅赤字となっています。ただし、今期の営業収益予想は-4,500(百万円)なので、予想通りに進捗しているのであれば、下期で挽回することになります。

画像:RIZAPグループ「2024年3月期 第2四半期 決算説明会資料

決算説明資料を確認すると、20年3月期の第4四半期はコロナの影響で大きく赤字を掘りましたが、その後黒字に回復、2023年3月期からは戦略的な先行投資で赤字となっています。chocoZAP会員基盤拡大のため、新規出店や広告宣伝投資等に費用がかかるのはやむを得ないのでしょう。

黒字転換のためのアクションは?

当社のセグメントは、以下3つの事業部になります。

・ヘルスケア・美容

(RIZAP、MRKホールディングス、ジャパンギャルズ、健康コーポレーション)

ライフスタイル

(REXT、ワンダーコーポレーション、ジーンズメイト、BRUNO、アンティローザ、D&M;)

インベストメント

(SDエンターテイメント、夢展望、堀田丸正、SDエンターテイメント、湘南ベルマーレ、サンケイリビング新聞社)

chocoZAPは、RIZAP関連事業になりますので、ヘルスケア・美容事業部に含まれます。

画像:RIZAPグループ「2024年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

セグメント別の利益を見ると、ヘルスケア・美容事業部の損失が赤字の大元だと分かります。下期は、黒字転換予想ですので期待したいところですが、そのためには、会員数の拡大はもちろん、退会率の改善も重要です。

そこでチョコザップでは、1週間以上来店のない会員に向けてアプリ上で来店を促す通知を配信しており、その効果もあって退会率は大幅に抑制されています。

画像:RIZAPグループ「2024年3月期 第2四半期 決算説明会資料

また、ジム内に設置された防犯用AIカメラのデータから、マシンが使われている頻度など、会員がどのように利用しているかの分析も行っています。それにより利用率の低いトレーニングマシンを廃止したり、人気のあるマシンを積極的に導入したりするなど、会員の満足度を高め、退会率の改善に寄与しています。

ふたたび株式市場のスター銘柄となれるか

画像:TradingViewより

株価は2017年の高値からは、一時は10分の1まで下がりましたが、2023年後半からはやや回復傾向にあります。chocoZAPは、2026年に現在の約2倍となる2,000店舗を目指していますが、実績では1年で1,000店舗以上増えていますので、前倒しで達成する可能性も十分あります。業績の急改善とともに株価が急上昇し、ふたたび株式市場のスター銘柄となるかもしれません。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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