【インドネシア居残り交換日記】 Day 19 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島)  2020年5月24日~29日 魚づくしごはん

レバランの休みはどこへも行けず、いつものごとく釣りでした。
爆発的な感染者や死者の増加が見られないのはええことですが、先の見えないトンネルで幅が狭まって行く中を進む感じ。
それでいて、なんか慣れみたいのものが生じてきて、こんなんでええんやろかと。

24日の日曜日ですが、いきなりトラブル。
船長が寝坊した上に、船外機をチョーク使わずに、セルモーターをぱかぱか回して始動不能に。
2サイクル船外機なんで、そらあプラグかぶってしまいますわな。
そんなことで1時間遅れの出発。

前回は私のいる島から東のレンバタ島を目指しましたが、今回は西へ。
ソロール島とフローレス島の間の水道を抜けたとこに複数の無人島が点在し、そこを片端から叩く寸法。

左から山羊島、灯台島、箱島

まずは灯台島。
水道の出口に位置して、水道から吐き出される潮がまともにぶつかる島。
水深もそんなに深くなく、前回にロウニンアジを釣ったスワンギ島に似てます。

しかし遅刻が響いたか、到着した時にはすでに潮が緩んでいる。
何度か流してルアーを投げるが反応なし。
まあ水温もさらに下がってるし仕方ない。

隣の箱島に移動。

ここは水深がやや深く、キャスティングでロウニンアジも釣れますが、
メタルジグという鉛のルアーを沈めてやるジギングでの実績が高い。
水温低下で、ロウニンアジの表層への反応が悪くなったのと引き換えに、
こないだアリ船長に釣られてしまったカンパチが浅場に来てるのでないかと期待。
本日の大本命ポイントです。
が、何もナシ。
アタリ一つナシ。

ここで私の脳裏に響き渡る蛍の光

本日は南西海域ポイントにご来訪いただき、誠にありがとうございます。
当ポイントはただいまをもって終了の時間となりました。
次の大潮の日曜日、お魚一同、アングラーの皆様のご来訪を心よりお持ちいたしております。
チャラ~ラ~ラ、ラ~ラ~♪

脳内ラジカセが前職の時にさんざん聞いた蛍の光とアナウンスを流し出す。

箱島を見切って山羊島へ。

山羊島

無人島群ではいちばん大きい島。
キャスティングのロウニンアジもジギングの実績も十分アリ、
私のイソマグロの自己記録はこの島で揚げた。
しかし!
ここ最近は箱島や灯台島に比べて全然釣れなく、もう一つの鮫島に向かう前、
いい潮が流れるまでの時間つぶしポイントに落ちぶれていた。

その鮫島は水深が浅くてキャスティングオンリー。
水温が下がっている中、箱島スカったら後がない。

蛍の光が流れる理由である。

テンション下がりまくりで山羊島に到着。
そして釣り開始。

だが。

あれ?

潮が流れている。

それも釣れる向きに。

これは?

と100Mラインを一生懸命シャクる。

そこにアタリ。

底近くで掛けたので無理やり出る糸を止めて強引なファイト。
おそらく掛かってるのはアレ。

来たっ、ヒレナガカンパチ

無事に揚がってきたのは予想通りヒレナガカンパチ。
それも丸々肥えたやつ。
これはおいしそう。
前回のアリ船長のカンパチもホントは食べたかったのだ。

船長にヒット

その直後に寝坊船長にヒット。
アリ船長ほど慣れておらずに、ぎこちない手付きだが、オオクチイシチビキを釣り上げる。

オオクチイシチビキ

その次は私。
これもラインを止める強引なファイト。
三度目の反転を止めたとこで軽くなってしまった。
強引すぎたか?と回収すると、鉤素がざっくり切られてた。
これはイソマグロに飲まれて、その歯でやられたか?

新しいジグを付けて投入。

すぐに来た。

今度は無事に確保。

キツネフエフキだ!

キツネフエフキ

口吻の長いフエフキダイの仲間。
○○タイという和名の付いた魚は多く、
インドネシアでも結構釣れる。
そういう○○ダイで、私がインドネシアで釣った中で、二番目においしいのがキツネフエフキ(一番は、めったに釣れないが、ナミフエダイ)。
カンパチといい、おいしい魚が続いて一気に上るテンション。

もうここで帰っても良かったが、ここまで来たらと鮫島へ。

鮫島は広がる浅瀬に3つほどの岩礁が顔を出しているポイントで、
ここはロウニンアジ狙いオンリー。

でも今日はだめだろとルアー投げているとアタリ。

でもこれは乗らない。

しばらくして来る。

これは乗った。

小さいらしいので一気に寄せる。

やはり小さかった。

ロウニンアジ

その後、もう一度当たったが、それは針ハズレでバラす。

しかし、釣れた後なんで、気落ちせずに、にこやかに帰路へ。

もう心の中は食べることしかない。

帰って後片付けをして温泉に入って、
その後にビール飲みながら釣ったばかりの新鮮な魚を

ってことはしない。

これは人それぞれかもしれないが、釣りたての魚って、おいしいとはあまり思わないので。
カツオくらいかな?すぐに食べるのは。

釣りたての魚で食べて際立つのは歯ごたえ。
コリコリ。シコシコってやつですな。
その歯ごたえを私はあんまり重視しないので。
それよりも大事なのはうまみでしょうと。
となると、少し冷蔵庫で寝かして、うまみの増した魚の方がおいしいと思う。
そういうわけで、この日は解体して出たアラを煮付けにしていただく。

アラの煮付け(手前)

5月25日(月)
晩飯に刺身でなく、しゃぶしゃぶにした。
まだ生臭さが残ってるので。
幸いにも市場で白菜が出回っているシーズンなんで、それもたっぷり入れた。

しゃぶしゃぶの材料。魚の上がカンパチ、下がキツネフエフキ

カンパチは近縁種のブリに似た味だが、あのクセが薄くて脂が実においしい。
キツネフエフキは白身だが、身がしっかりしてるのがいい。

灯油コンロ持ち込み、力技しゃぶしゃぶ

これら2種類のお魚を十分に堪能した後に、
ご飯を投入して、さらに生卵をぶちこんでおじやに。
うどんとどっちにするか迷ったが、おいしかった。

5月26日(火)
この日ようやく刺身。
湯霜造りにして頂きます。
魚のおいしいのは皮なんで、刺身といえども捨てるのはちともったいないし。

5月27日(水)
次の日も刺身。
手を加えて、キツネフエフキを酢じめ。
キツネはこうやって食べるのが一番うまいと思う。
カンパチも酢じめにしてもよかったが、ヅケにした。

カンパチのヅケとキツネフエフキの酢じめ

酢じめ、ヅケは、軟らかくて水っぽい南の魚も締まって化けるので、覚えておくと損はないです。
ビールが進む進む。

5月28日(木)
やっとやっとオーソドックスに刺身。

普通にわさび醤油でいただきました。
しっかり寝かしただけあって、カンパチの腹の脂が甘くてうまい。
キツネもニピス(jeruk nipis)汁を少し垂らして食うと、カンパチの脂と対比する爽やかさが活きて、実によろしい。

5月29日(金)
連日食べても一人なんで、まだまだ冷蔵庫にあるサク。
カルパッチョやセビチェにフエと生食ネタはまだあるけど、ええかげんに飽きてくるので打ち止め。
残りは味噌漬けにして冷凍保存に。

味噌漬けに

この日の晩飯はそれを焼いたの。

味噌漬け焼き

こういうのはサワラが最高だが、カンパチやキツネフエフキ、またはハタなんかも悪くない。

魚と醤油がもっとあれば、タレに漬けてタレごと冷凍保存して、照り焼きにしても良かったんですがね。
ぜいたくは言うまい。

と、楽しく遊んでおいしく頂くという、釣りをやってて良かったと思える1週間を過ごすことができました。

が、

お魚飽きた。

バイク乗りたい。

クパンからバイク乗ってバウンって山中の村にあるお店へ行って、
名物のダギンセイバビ(daging sei babi)食べたい

と思うのはぜいたくですかね?

ダギンセイバビ

松下哲也(まつした・てつや)
1995年にインドネシアへ。真珠屋。小物釣師。のんびりライダー。元・無神論者のクリスチャン。東ヌサトゥンガラ在住。

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