「捕まれば殺されます」ある脱北家族の決死の旅路に密着!『ビヨンド・ユートピア 脱北』予告編

2023年サンダンス映画祭で開催直前までシークレット作品として詳細を伏せられ、上映後に絶賛を浴び、ドキュメンタリー部門の観客賞を受賞した『ビヨンド・ユートピア 脱北』が、2024年1月12日より公開される。このほど、予告編が披露された。

本作の中心となるのは、祖国北朝鮮を離れいくつもの国境や川、険しい山岳地帯を超えて危険な旅に乗り出す2人の幼い子どもと80代の老婆を含む5人の家族、国に残して来た子どもとの再会を切望する母親、そして、自由を求める彼らを強い使命感をもって支援する人々だ。実に50人以上のブローカーが協力し、脱北ののち中国、ベトナム、ラオス、タイの4カ国を経由し最終目的地である韓国を目指す、総移動距離1万2000キロメートルの決死の脱出作戦が展開される。再現シーンは一切なく、撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって行われ、一部の詳細は関係者の安全のために伏せられている。スマートフォンや折りたたみ式携帯電話で撮影された映像は生々しく、いつどんな形で生死の分かれ目が訪れてもおかしくない、これ以上ないほどのスリルと危険に満ちている。脱北者にとって祖国を離れることは、悪徳ブローカーによる搾取の可能性だけでなく、捕らえられれば厳しい刑罰や場合によっては処刑されるなど、大きな危険をはらみ、残された家族も報復にさらされる可能性がある。しかし、そのようなリスクを冒してまでも、彼らには祖国を去らなくてはならない理由があるのだ。

予告編の冒頭、北朝鮮を脱出するも中国の山間部で立往生してしまった5人のロ家族から、キム牧師の携帯電話に助けを求める連絡が入る。家族の親族が韓国に逃れたことで、彼らにも嫌疑がかけられ身の危険が迫っていたのだ。キム牧師の指揮のもと各所に点在する50人以上のブローカーが協力する決死の脱出作戦が始まった。キム牧師は特に困難が予想される、3世代にわたる家族である彼らが1万2千キロの大移動を経て、真の意味で「脱北」を果たすまでの行程に同行することに。この脱出作戦の一端が、映画の撮影クルーのみならず道中を共にする協力者によって携帯電話や隠しカメラで撮影されていく。映像は、暗闇の山中を何時間も歩き続ける中で一度通った山道をまた歩いていることに気づいた一行が、「同じ道を歩かせ金をせびる気だ」とブローカーの思惑に気づく場面などスリリングな様子を生々しく捉え、ロ家族がお互いを励まし助け合いながら、自由にたどり着くまでの道のりに密着していく。

映像の最後には、道中の隠れ家で撮影クルーによるインタビューに応じる家族の祖母がこれまで北朝鮮でずっとそう思い、言葉にし続けてきたように「金正恩様は若いのに偉大で…」と答えていると、娘が「お母さん、もう本当の気持ちを言っていいのよ」と耳打ちする、劇中でも特に胸を打つワンシーンを切り取った。

当初、本作のプロデューサーからある脱北者の回顧録の映画化を持ちかけられたマドレーヌ・ギャヴィン監督は、自分なりの切り口を求めて数か月間ひたすら北朝鮮に関する様々な文献や資料に当たり、より深く調査するためにVPN(仮想プライベートネットワーク)も駆使し北朝鮮から持ち出された隠しカメラ映像などにも触れたという。ギャヴィン監督は、「数か月間、寝ても覚めても、北朝鮮の世界のことを考え続けました。中でも、私の心を最も惹きつけたのは、その秘密主義的な国の中に住む“人々”でした。 彼らの物語や苦労が、外の世界にほとんど伝わっていないことを知ったのは衝撃的でした。このプロセスを始めてから数か月が経ったある朝、目が覚めると何かが私の中でカチッと音を立て、作るべき映画が見えたのです」と語る。映画では、隠しカメラなどを通じて捉えられた北朝鮮に生きる人々の過酷な暮らしや抑圧の様子が映し出され、予告編でもその一端が切り出された。

『ビヨンド・ユートピア 脱北』
2024年1月12日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
監督:マドレーヌ・ギャヴィン
配給:トランスフォーマー

【ストーリー】 韓国で脱北者を支援するキム・ソンウン牧師の携帯電話には、日々何件もの連絡が入る。これまでに1000人以上の脱北者を手助けしてきた彼が直面する緊急のミッションは、北朝鮮から中国へ渡り、山間部で路頭に迷うロ一家の脱北だ。幼い子ども2人と80代の老婆を含めた5人もの人たちを一度に脱北させることはとてつもない危険と困難を伴う。キム牧師の指揮の下、各地に身を潜める50人ものブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す決死の脱出作戦が行われる。

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