「みらい」グループの訪問看護事業 「うちはお金がかからない」と勧誘か 理事長、指示認める 利用料徴収せずに診療報酬を請求の疑い

 不正が指摘される「一般社団法人みらい」グループの訪問看護事業で、利用者から徴収すべき利用料を徴収していない例が多数あることが分かった。診療報酬を請求する要件に反しており、不備が重ねて明らかになった。6日記者会見した稲嶺積理事長は「なるべく料金を取らないように言った」と内部で指示したことを認めた。(編集委員・阿部岳、社会部・比嘉海人)

 訪問看護事業は、病院と同じように利用者から自己負担分の利用料を受け取り、残りを公的医療保険の診療報酬などで受け取る。厚生労働省によると、生活保護受給者などを除けば利用料の徴収は必須。関係法令には不正な診療報酬請求があった場合、事業者指定を取り消す規定もある。

 みらいグループの訪問看護ステーション「キララ」の 元利用者は「利用料を払ったことは一度もないし、払う人を見たこともない」と証言する。別の元利用者も「もし払うなら受けなかった」と語る。稲嶺氏は就労継続支援事業に通う障がい者に対し、「うちはお金がかからない」と、訪問看護を受けるよう勧誘していたという。

 稲嶺氏は6日、県政記者クラブで会見し、「利用者に負担をかけたくなかった。実際に利用料を取ったかどうか確認している」と述べた。要件に合わない自宅以外での実施、30分未満の実施があった点についても本紙報道を重ねて認めた。

 一方、障がい者の就労継続支援B型事業で、来ていない利用者を来たことにして給付金を水増し請求しているとの指摘については「全くない」と否定した。

記者会見する一般社団法人みらいグループの稲嶺積理事長(左)と司会役の仲村覚氏=6日、県庁

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