宮田莉朋がデイトナ初走行へ。アメリカ初上陸のランボルギーニが初日最速【IMSA公認テスト水曜Topics】

 2023年のオフシーズンも世界各地で来シーズンに向けたプレシーズンテストが順次行われているなか、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでも2024年1月27~28日に開催されるウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦『デイトナ24時間レース』に向けたIMSA公認テストが開催されている。ここではテスト初日となった12月6日(水)のトピックスをお届けする。

■初日はアメリカ初登場のSC63がトップタイム

**デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSA公認テストの初日、アンドレア・カルダレッリは、水曜日の午後のセッションで63号車ランボルギーニSC63(ランボルギーニ・アイアン・リンクス)に乗り込み1分35秒027のベストタイムを記録した。このタイムは、午前中のセッションでトップに立ったチップ・ガナッシ・レーシングが運営する01号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)よりも0.105秒速く、午後のセッションの2番手とはコンマ4秒の開きがあった。

**ランボルギーニにとって唯一のアクシデントは、セッション2の最後の30分に左リヤタイヤがパンクし、カルダレッリがマシンを引きずってピットに戻ったことだった。幸いクルマにダメージはなく残り10分となったところで走行を再開している。

**カルダレッリは、リジェベースの新型マシンのコクピットで一日を過ごした。チームメイトのダニール・クビアト、ミルコ・ボルトロッティ、ロマン・グロージャンは2日めに、デイトナ24時間には出場しないSC63をドライブするものと思われる。なおボルトロッティはIMSA開幕戦のデイトナに向け、19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・リンクス)でさらに周回を重ねることになる。

**一方、フランク・ペレラは、金曜日と土曜日にランボルギーニの“ターゲット・パフォーマンス・テスト”を19号車ランボルギーニで行う予定だ。

アンドレア・カルダレッリがドライブした、ランボルギーニ・アイアン・リンクスの63号車ランボルギーニSC63

■宮田莉朋がレクサスRC F GT3をドライブ予定

**水曜日のオープニング・セッションでは、コナー・デ・フィリッピの25号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)がコース上でストップしガレージまで牽引する必要があったため、1回めの赤旗が提示された。

**午後はさらに2回の赤旗中断があった。最初の赤旗はデブリ回収によるもので、2回目は11号車オレカ07・ギブソン(TDSレーシング)がターン5でクラッシュしたことによるものだ。なお、ハンター・マクエレアがドライブしていたこのクルマは牽引されてガレージに戻ったあとすぐにトラックに戻っている。

**6日(水)はGTPとLMP2クラスのマシンが3.56マイルのコースを専有したが、7日(木)はこれにGTDプロとGTDのマシンが加わる合同セッションとなる。

**IMSAは6日付で、このテストに参加する全43台のドライバーを掲載したエントリーリストを発表した。

**この中ではTOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジドライバーである宮田莉朋の名前が確認できる。スーパーGTとスーパーフォーミュラの“ダブルチャンピオン”は来シーズン、WEC世界耐久選手権のリザーブドライバーを務めつつクール・レーシングからELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに出場するほか、名門ロダン・カーリンでのFIA F2参戦も決定している。

**今回のテストで宮田はGTDクラスに参戦するバッサー・サリバンに合流しており7日以降、同チームの12号車レクサスRC F GT3をドライブするものとみられている。

11月20日に行われたTOYOTA GAZOO Racing WEC&WRC体制発表会での宮田莉朋

■プロトタイプとGTカーで二足のわらじを履く

**ルイ・デレトラズは、WECの2年連続チャンピオンであるブレンドン・ハートレーがテストに参加しないため、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ(WTRアンドレッティ)が走らせる2台のアキュラARX-06の両方に名前が記されている。2024年に新たに登場する40号車アキュラは今週、主要なスポンサーなしの状態で走行している。コマーシャル・パートナーについては発表が保留されているためだ。

**その40号車をドライブするジョーダン・テイラーは、“彼の分身”であるロドニー・サンドストームのレーシングスーツを着てテストに臨んでいる。これは40号車のクルーが当初着用予定だったスーツが、チームの新しいスポンサーを示していたためだという。

**AFコルセのフェラーリ・ハイパーカーのドライバーであるニクラス・ニールセンは今週、リシャール・ミル・AFコルセのLMP2マシンのステアリングをルイス・ペレス・コンパンクと握り、同時にチームオーナーのロベルト・ラコルテとともにチェティラー・レーシングの47号車フェラーリ296 GT3をドライブする。

**また、ニールセンのWECの同僚であるアレッサンドロ・ピエール・グイディとフェラーリドライバーのダニエル・セラは、ともにリシ・コンペティツィオーネの62号車フェラーリで周回を重ねる予定だ。

**ターナー・モータースポーツがGTDクラスで走らせる96号車BMW M4 GT3のエンデュランス・カップ・ドライバーに、ジェイク・ウォーカーが就任した。彼はすでに決定しているロビー・フォーリーとパトリック・ギャラガーのフルシーズンコンビに加わり、デイトナ24時間ではイェンス・クリングマンがラインアップを完成させる。一方、長年チームとともに成功を収めてきたビル・オーバーレンがラインアップから外れることとなった。

インターユーロポル・バイ・PR1マティアセン・モータースポーツの52号車オレカ07・ギブソン(左)と、ショーン・クリーチ・モータースポーツの33号車リジェJS P217・ギブソン(右)

■GTD/GTDプロに新しいミシュランタイヤが登場

**水曜日に4人のドライバーのうち3人を発表したフォルテ・レーシングには、チームのスポークスマンによると、ランボルギーニのファクトリードライバーが4人目のドライバーとしてデイトナ24時間に参加するという。

**Sportscar365は、アキュラARX-06がいくつかのコンポーネントの配置変更に関して、若干の再ホモロゲーションを受けていることを理解している。しかし2024年の技術規則でそのような許可を申請した唯一のLMDhモデルであるポルシェ963とは異なり、“EVOジョーカー”は保証されていないと考えられている。

**WTRアンドレッティのドライバーは、HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)でアップグレードされ、ARX-06のステアリングホイールがシステムに組み込まれたシミュレーターの恩恵を受けている。ジョーダン·テイラーはSportscar365 に対し、以前のセットアップから大きく前進したと述べた。

**木曜日は多くのGTチームにとって、来年GTDプロとGTDの両方で『S9M』に代わるミシュランの2024年用新タイヤ『パイロットスポーツ・プロGT H1』での初走行となる。

**一方、ミシュランとIMSAは、WECで使用されているのと同じ命名法に従ってGTPタイヤオプションの名称を変更した。これによりSLT(ソフト・ロー・テンプラチャー)はソフトに、SHT(ソフト・ホット・テンプラチャー)はミディアム、MLT(ミディアム・ロー・テンプラチャー)はハードとなっている。GTP/ハイパーカーのタイヤコンパウンドは2024年末まで変更されることはない。

スポンサー発表前であるため、ロゴなしの状態で走行したウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの40号車アキュラARX-06

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