灘中→灘高→京大卒の落語家・桂福丸「繁昌亭大賞」奨励賞に 大人は入場禁止「子どもだけ寄席」が評価

入門25年以下の上方落語家を対象にした「第18回繁昌亭大賞」が7日、天満天神繁昌亭(大阪市)で発表され、桂吉坊(42)が大賞に輝いた。また、奨励賞には桂福丸(45)、新人賞には桂米輝(38)が選ばれた。

繁昌亭を中心に2023年に活躍した上方落語家に贈られる同賞。選考委員によれば、満場一致で大賞に選ばれた吉坊は「入門25年という節目の年にこういう賞をいただけて」と喜びを吐露し「上方落語および上方芸能という“大きな家”の入り口に立って、いろんな方がこの家の中に入って楽しんでいただけるように」と意気込みを語った。また、新人賞の米輝は唯一無二の新作落語が評価され、「繁昌亭が壊れるくらい笑わせたい」と大きな目標を掲げた。

奨励賞の福丸は灘中学、灘高校を卒業後、京都大学法学部に進学した超高学歴で、2001年に大学卒業後も進路を模索し続け、07年2月に四代目桂福団治に入門した異色の経歴を持つ。「自分が受賞したというよりか、周りの人に取らせてもらったという感覚」と謙遜したが、今回高く評価された活動もまた異色の取り組みだった。

福丸が21年から繁昌亭で始めた小学生向けの落語会「子どもだけ寄席」。文字通り入場できるのは子どもだけ、大人は立ち入り禁止という思い切った取り組みが話題を呼び、3年間でのべ2000人の子どもたちを動員。将来につながる落語ファンの育成に貢献した。また、保護者が終演を待つ間、繁昌亭付近のカフェや飲食店に立ち寄ることで地域全体の活性化につながっていることも評価された。

福丸は子どもたちとのふれ合いを通して自身の成長を実感しているという。「(小学校に赴いて落語を披露する)学校公演では先生の目線も感じつつ落語をやる。子どもを喜ばすだけじゃなく、先生も喜んだかという視点が生まれるんですが、(子どもだけ寄席は)本当に子どもだけ。目の前の子どもたちが喜んでいるかどうかがすごく試される」と実感。子どもだけ寄席などの活動を通して「僕自身、舞台全般が好きなので舞台・ライブが好きな人を増やしたい」と語った。

3人の受賞を記念した「第18回繁昌亭大賞受賞記念落語会」は来年3月1日に繁昌亭で開催される。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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