【阪神JF/全頭診断】ハーツクライ牝馬に「5.1.1.1」 混戦断つ“馬券内率87%”データ

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今週は阪神競馬場で、第75回阪神ジュベナイルF(GI、芝1600m)が行われる。チェルヴィニア、ボンドガールと参戦予定だった実績馬が回避し混戦ムードに。昨年はリバティアイランドが制した出世レースで勝ち名乗りを上げるのはどの馬になるのだろうか。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

◆【阪神ジュベナイルフィリーズ2023特集】出走予定、予想オッズetc.「ボンドガール回避で混戦ムード」 予想に役立つ馬券攻略ガイド

■阪神ジュベナイルF2023 出走予定馬全頭診断

・アスコリピチェーノ

新馬戦→新潟2歳Sと無傷の2連勝。いずれも左回りかつ上がり3F33秒3と、切れ味はすでに世代屈指と言えそうだ。ここも好勝負が期待されるが、過去10年の阪神JFにおける前走新潟組の成績は【0.1.0.6】。のちの桜花賞馬ハープスターですら勝ちを逃しており、相性には疑問が残る。有力馬の回避が相次いだことで繰り上がり的に上位進出の可能性は高くなったものの、関西圏や右回りなどクリアすべきハードルは決して低くない。

・カルチャーデイ

前走ファンタジーSは15人気での勝利。先行抜け出しの内容そのものは申し分ないが、1200→1400mと距離を延ばして着差が縮まった点は気がかりだ。自身初の急坂コースでもあり、評価を上げるには至らない。

・キャットファイト

ディスクリードキャット×パイロの血統背景からダート馬を連想してしまうが、オール野芝で好時計勝ちの近走内容は芝巧者そのもの。稍重で1分33秒1の前走は相当強く、血統の常識を覆す可能性を秘めた馬であることは間違いなさそうだ。初の関西圏かつ9頭立て以下の勝利しかない点は気がかりも、軽くは扱えない。

・クイックバイオ

前走ファンタジーSは7着と完敗。2走前の勝ち時計も平凡で、一変を望むのは酷に映る。

・コスモディナー

札幌以来の実戦となる馬。初の関西圏かつ走破時計に目立ったものはなく、苦戦は免れられないか。

・コラソンビート

未勝利から一気に3連勝でGIの舞台へ。マイルでの勝利実績もあり、牡馬相手の京王杯2歳Sはレコード勝ちと内容も伴っており上位人気は濃厚だ。有力馬が続々回避した組み合わせでもあり、一定レベルの評価は必要だろう。

・サフィラ

これがデビュー4戦目と、ノーザンファーム生産の良血馬には珍しく数を使われている馬。そのなかで阪神芝外回り勝利、マイル重賞で連対と着実に力をつけている印象だ。2023年の松山弘平×シルクレーシング×ノーザンF生産馬の成績は【5.1.1.1】。中間のウッドでは猛時計をマークしており、外回り経験値も含めて死角の少ない1頭と言える。

・シカゴスティング

デビューから馬券外のない堅実派。差す競馬にも対応した前走は収穫の大きいレースだが、これまで挙げた2勝はすべて直線平坦コース。急坂芝1600m替わりがプラスに働くとは思えない。

・スウィープフィート

過去10年の阪神JFにおいて、前走1勝クラスで2着以下だった馬は【0.0.0.15】。のちの重賞2着馬パーソナルハイもフタ桁着順とGIの壁に阻まれており、強調材料は乏しい。

・ステレンボッシュ

この馬で注目したいのは新馬戦。ラスト3Fは12秒0-11秒6-11秒6と減速しておらず、洋芝1800mにもかかわらず終いの脚は最後までしっかりしていた。東京芝マイル戦の前走は1分33秒8の好時計をマーク。国枝厩舎のエピファネイア産駒である点は2021年勝ち馬サークルオブライフと同じで、今年のGIでも無双中のC.ルメール騎乗も見逃せない。

・スプリングノヴァ

札幌芝1500mを逃げ切った新馬戦、中山マイルの前走と連勝はいずれも小回りコース。未経験ゆえ走ってみないとわからない部分はあるものの、走破時計や上がり3Fも平凡となればGI即通用は容易ではなさそうだ。

・テリオスルル

牡馬相手の前走東スポ杯2歳Sは10着と惨敗。牝馬限定戦に替わるとはいえ、変わり身は望み薄か。

・ドナベティ

3走前に使われた芝1500mは先行して後続に差される競馬。現状は控える競馬が合っている印象だが、マイルの急坂コースで同様の切れ味を発揮できるかは疑問だ。

・ナナオ

デビューから連対率100%と安定した成績を誇る馬。ただその走破時計は芝1200mで1分11秒台、芝1400mで1分23秒台と道悪を考慮しても強調しづらい数字だ。距離延長で逃げる競馬を選択した前走内容から、再度の距離延長で折り合いも気になるところ。1400m以下に替わった際が狙い目か。

・ニュージェネラル

前走負かした相手の次走芝成績は【0.0.0.7】。厳しい。

・プシプシーナ

前走、2走前はともに4角3番手以内を運んだ馬が3着内に入ったレース。展開・馬場に恵まれた印象は否めず、再度の好走へのハードルは高い。

・ミライテーラー

過去10年の阪神JFにおいて、前走ダート組の成績は【0.0.0.4】、該当馬はすべてフタ桁着順。初めての芝がGIレースとなるここは厳しい戦いが予想される。

・ルシフェル

未勝利→萩Sと連勝中の馬。父ハーツクライ譲りの切れ味を身上としており、デビュー以降上がり3F最速を外していないのは魅力だ。過去10年の阪神JFにおいて、前走芝1800mのOPクラスで上がり3F最速だった馬の成績は【2.1.0.1】。マイルやハイペースを経験していない点はネックも、ポテンシャルの高さを疑う余地はない。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年12月7日 18:02公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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