津山・社福法人愛和会に改善勧告 岡山県、特養運営で不適切対応

岡山県庁

 特別養護老人ホーム「愛和荘」(津山市桑下)の職員が2021年、体調が悪化した入所者に適切な対応を取らなかったとされる問題を巡り、岡山県が施設を運営する社会福祉法人愛和会(同所)に対し、介護保険法に基づく改善勧告を出したことが7日、関係者への取材で分かった。入所者はその後に死亡し、津山市が職員の対応を虐待と認定。一方、県は勧告で特養の運営に不備があったとしつつ、虐待の有無には言及していない。

 この問題では津山市が虐待と判断した今年3月以降、県は施設への立ち入りを重ねるなどして調査。関係者によると、当時の記録が適正に残されていなかったことなどから事実確認が十分に行えず、記録の保管や全体的な介護内容に関する不備を指摘するにとどまったとみられる。勧告は6日付。

 入所者の家族らによると、21年7月、施設に入所していた女性=当時(101)=がベッドから転落して頭を打った際、医師の診察を受けた後に呼吸困難や冷や汗などの症状が見られたにもかかわらず、再受診といった対応を取らなかったとされる。女性は6日後に死亡した。

 県の勧告について、愛和会は山陽新聞社の取材に「指導に従って改善する」とした上で「医師の指示により適切に対応しており、虐待とは考えていない」と説明。これに対し、入所者の家族は「業務停止などの処分を求めていたので不満だ。施設側は虐待を認めて謝罪してほしい」と訴えた。

 岡山県子ども・福祉部は「勧告を出したかどうかを含めて個別の案件には答えられない」としている。

© 株式会社山陽新聞社