M-1の煽りコピー「俺たちが一番おもしろい」…VTRの魅力は

お笑い頂上決戦『M-1グランプリ2023』に出場するファイナリストが発表された。8540組を勝ち抜いた9組(+敗者復活枠1組)の漫才はもちろんだが、ドラマティックな「オープニングの煽りVTR」を楽しみにする人もいるのではないだろうか。

(C)M-1グランプリ事務局

年々エントリー数を増やす同グランプリ。2023年大会、決勝に進むのはダンビラムーチョ、カベポスター、くらげ、マユリカ、モグライダー(マセキ芸能社)、令和ロマン、さや香、真空ジェシカ(人力舎)、ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)の9組(所属明記以外はすべて吉本興業所属)となった。

あとは12月24日の決勝戦を待つのみ。もちろん、生放送で披露される漫才が醍醐味だが、筆者が毎年楽しみにしているのは、番組オープニングの「煽りVTR」。歴代王者の映像をはじめ、今年参加した芸人らの戦うシーンが切り取られた約5分ほどの動画のことで、「ただ証明したい、俺たちが一番おもしろい」と締めくくられる。

この「ただ証明したい、俺たちが一番おもしろい」というナレーションが使う尺は実に30秒。過去大会ではさらりと放送されていたときもあったが、現在は「ただ証明したい」「俺たちが」「一番」「おもしろい」と4分割され、さまざまな芸人の表情を魅せる「見せ場」となっている。

この最後の「おもしろい」に選ばれる芸人は誰なのか?というのは、お笑いファンから注目されている1要素といっても過言ではないと思う。直近になるとSNSでは予想合戦もおこなわれるほどだ。

「おもしろい」というフレーズとはほど遠い、舞台袖などの芸人たちの真剣な表情、盛り上がる音楽、力強いナレーション・・・放送前にお笑いを生業に真剣に挑む芸人たちの裏側をかいつまみ、「今からM-1が始まる!」と高揚感に包まれる。おもしろいというか、かっこ良い。

今回のファイナリスト会見で、さや香・新山は2022年に「おもしろい枠」に採用されたことについて言及。動画内で新山は何かを悟ったような薄笑みを浮かべており、これについて「史上一番イジられてた」と振りかえり、「今年は僕のかっこ良いバージョンか、別の人の変な顔にしていただければ」と懇願していた。

そのほか、ゆにばーす・川瀬名人(21年)、見取り図・盛山(20年)、かまいたち・山内(19年)などが選出されている。今年の「煽りV」は、このお馴染みワードが炸裂するのか、はたまた新しいキャッチコピーが生まれるのか。当日まで期待が高まる。

© 株式会社京阪神エルマガジン社