初めて明かされる“脱北の全行程” 死と隣り合わせの旅にカメラが密着、衝撃の115分『ビヨンド・ユートピア 脱北』

『ビヨンド・ユートピア 脱北』© TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved

2023年の「サンダンス映画祭」USドキュメンタリー部門で観客賞を受賞し、2023年のベスト・ドキュメンタリーの呼び声高い映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』が、2024年1月12日(金)より公開される。このたび、日本版予告編が解禁となった。

「RottenTomatoes」100%の高評価

この映画の中心となるのは、祖国北朝鮮を離れ、いくつもの国境や川、険しい山岳地帯を超えて危険な旅に乗り出す2人の幼い子どもと80代の老婆を含む5人の家族、国に残して来た子どもとの再会を切望する母親、そして、自由を求める彼らを強い使命感をもって支援する人々だ。この家族のために実に50人以上のブローカーが協力し、脱北ののち中国、ベトナム、ラオス、タイの4カ国を経由し最終目的地である韓国を目指す、総移動距離1万2千キロメートルの決死の脱出作戦が展開される。自由とは何か、楽園はどこにあるのか——深く心に訴え、観る者に強く問いかけてくる。

監督は、Netflixドキュメンタリー『シティ・オブ・ジョイ~世界を変える真実の声~』のマドレーヌ・ギャヴィン。本作は、2023年「サンダンス映画祭」で圧倒的な支持を得てUSドキュメンタリー部門観客賞を受賞したほか、「ウッドストック映画祭」で最優秀ドキュメンタリー賞、ドキュメント編集賞の二冠を達成。米批評家サイト「Rotten Tomatoes」のメーターは評論家100%、オーディエンス98%と圧倒的な高評価を記録(12/1時点)しており、各映画メディアや評論家の間では、2023年のベスト・ドキュメンタリーの呼び声が高い作品だ。

ある脱北家族が、自由を手にするまでの決死の旅路

予告編の冒頭、北朝鮮を脱出するも中国の山間部で立往生してしまった5人のロ家族から、キム牧師の携帯電話に助けを求める連絡が入る。家族の親族が韓国に逃れたことで、彼らにも嫌疑がかけられ身の危険が迫っていたのだ。キム牧師の指揮のもと各所に点在する50人以上のブローカーが協力する決死の脱出作戦が始まった。

キム牧師は特に困難が予想される、3世代に渡る家族である彼らが1万2千キロの大移動を経て、真の意味で「脱北」を果たすまでの行程に同行することに。この脱出作戦の一端が、映画の撮影クルーのみならず道中を共にする協力者によって携帯電話や隠しカメラで撮影されていく。

映像は、暗闇の山中を何時間も歩き続ける中で一度通った山道をまた歩いていることに気づいた一行が、「同じ道を歩かせ金をせびる気だ」とブローカーの思惑に気づく場面などスリリングな様子を生々しく捉え、家族がお互いを励まし助け合いながら、自由にたどり着くまでの道のりに密着していく。

映像の最後には、道中の隠れ家で撮影クルーによるインタビューに応じる家族の祖母がこれまで北朝鮮でずっとそう思い、言葉にし続けてきたように「金正恩様は若いのに偉大で…」と答えていると、娘が「お母さん、もう本当の気持ちを言っていいのよ」と耳打ちする、劇中でも特に胸を打つワンシーンを切り取った。

当初、本作のプロデューサーからある脱北者の回顧録の映画化を持ちかけられたマドレーヌ・ギャヴィン監督は、自分なりの切り口を求めて数か月間ひたすら北朝鮮に関する様々な文献や資料に当たり、より深く調査するためにVPN(仮想プライベートネットワーク)も駆使し北朝鮮から持ち出された隠しカメラ映像などにも触れたという。

ギャヴィン監督は、「数か月間、寝ても覚めても、北朝鮮の世界のことを考え続けました。中でも、私の心を最も惹きつけたのは、その秘密主義的な国の中に住む“人々”でした。 彼らの物語や苦労が、外の世界にほとんど伝わっていないことを知ったのは衝撃的でした。このプロセスを始めてから数か月が経ったある朝、目が覚めると何かが私の中でカチッと音を立て、作るべき映画が見えたのです」と語る。映画では、隠しカメラなどを通じて捉えられた北朝鮮に生きる人々の過酷な暮らしや抑圧の様子が映し出され、予告編でもその一端が切り出された。

『ビヨンド・ユートピア 脱北』は2024年1月12日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開

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