4市町のごみ処理施設解体 茨城・かすみがうら市が支払いへ 県調停案を受諾方針

霞台厚生施設組合を巡る調停案を発表する県自治紛争処理委員長の吉田勉常磐大教授(右から2人目)ら=県庁

茨城県の石岡、小美玉、かすみがうら、茨城の4市町でごみ処理を担う霞台厚生施設組合(小美玉市)の旧焼却施設解体費を巡り、負担金支出をかすみがうら市が拒否している問題で、県自治紛争処理委員は7日、市が負担金を支払うのが妥当とする調停案を発表した。同市の申し立てを退ける内容だったが、組合の規定や運営に不明確な点があり、「市が疑問を持つのは当然」とも指摘した。同市はこの案に従うとしている。

受諾にはかすみがうら市と霞台組合それぞれの議会での可決が必要で、両者は調停案を審議する議案を提出する方針。

同市は2015年に組合に加入。前市長時代に4市町での負担が承認された旧施設解体費について、施設を当時実際に使っていた石岡、小美玉両市の負担とするよう市長交代後に要求した。組合からの負担金請求を受け、今年9月、県に調停を申請。22年度から負担金計約3000万円の支払いを拒否している。

この日示された調停案では、費用負担が20年の正副管理者会議で話し合いを重ねて承認されたことを重視し、「合意があった」と判断した。4市町が過去に構成していた別の旧事務組合で、施設解体費を当該自治体が負担していることも検討し、旧事務組合は解散した半面、霞台組合は継続しており事情が異なるとして、「4市町での負担は相応の合理性がある」と結論付けた。

市長交代による合意の撤回に関しては、法的に可能であっても、賠償責任や交付金不交付が予想され、多額の費用や長期の法的手続きを考慮すると負担金支払いが合理的だとしている。組合には、支払い遅延による督促手数料や延滞金の請求放棄と、運営上の改善を求めた。

かすみがうら市の宮嶋謙市長はこの日、調停案を受け記者会見を開き、「使っていない施設の解体費は払えないという主張が認められず残念だが、結果を重く受け止め、関係改善に向け手続きを進めたい。混乱を避けるための苦渋の決断だ」と述べた。

組合事務局は「内容を確認し、関係者で協議の上、円満な解決に向け速やかに対応したい」としている。

県自治紛争処理委員長の吉田勉常磐大教授は「相互理解を高め、運営がいい方向に行くことを願う」と話した。

■霞台厚生施設組合を巡る県調停案のポイント
①かすみがうら市は組合に対し、正副管理者会議で承認された旧施設解体費を負担する

②組合は市の支払い遅延で生じた損害(督促手数料、延滞金など)の請求を放棄する

③組合は協定などの規定、文言を明確にし、4市町間で誤解を生じない適切な業務運営に努める

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