首相、松野官房長官の更迭否定 還流「課題と原因把握し対応」

松野官房長官の政治資金還流問題について、記者団の取材に応じる岸田首相=8日午前、首相官邸

 岸田文雄首相は8日の衆院予算委員会の集中審議で、自民党派閥の政治資金還流問題を受けた松野博一官房長官の進退に関し「政府のスポークスマンとしてしっかりと発信してもらう」と述べ、更迭を否定した。派閥パーティーの当面自粛を指示したと重ねて表明した上で「あくまで第一歩。課題や原因をしっかり把握し、信頼回復に向け、さらなる対応を行う」と強調した。立憲民主党の枝野幸男氏は「国民から疑念を持たれ、内閣の危機だ」と追及した。

 自民派閥のパーティー券問題では、安倍派(清和政策研究会)所属の松野氏側が最近5年間で計1千万円超の還流を受けたとみられることが判明。松野氏は「政治団体についても精査し、適切に対応したい」と説明、引責辞任を否定した。首相は「松野氏とさまざまな意思疎通を図っているが、中身について具体的に申し上げることは控えなければならない」とした。立民は松野氏の証人喚問を要求した。

 首相は「党全体の問題として強い危機感を持ち、一致結束して対応する」と強調。「厳しい目が自民に注がれている」とも語った。

首相官邸で記者に囲まれる松野官房長官(中央)=8日午前

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