[2023 久米島町観光・物産と芸能フェア]
沖縄県久米島町で観光客がひっきりなしに訪れる沖縄そばの名店「久米島そば処やん小~」が、8日に那覇市久茂地のタイムスビルで開幕する「久米島町 観光・物産と芸能フェア」に出店する。テレビの人気番組で紹介され、即席麺の全国発売で注目を浴びたこの1年。創業者の仲宗根直樹さん(56)は「来場者の大半はどこかで島とつながっている人だと思う。食べて古里を思い出してほしい」と語る。(南部報道部・又吉健次)
沖縄本島の専門学校卒業後、県外に就職すると同僚から「久米島ってどこにあるの」と質問され、郷里を誰も知らないことにショックを受けた。「島を知ってもらうためには、島のものを食べてもらおう」と考えるようになった。
飲食店の夢を形にしようと帰省して2007年、実家に店を開業した。「名前を聞けば島の人なら店の場所が分かるから」と、店名は屋号と同じにした。
久米島はみその産地で、賄い食として好評だった「島味噌(みそ)もやしそば」を売り出すと人気商品に。遊び心で沖縄本島産のラー油を加えた「ピリ辛味噌もやしそば」も店の定番商品になった。素材は島内産にこだわり、久米島赤鶏のだしに海洋深層水を使ったもちもちの麺が特徴だ。
人気店とはいえコロナ禍でうまくいかずに悩んでいた今年5月、TBSの人気番組「マツコの知らない世界」で紹介された。収録ではスタジオに招待され、マツコ・デラックスさんに島味噌もやしそばを食べてもらった。「これは沖縄そばじゃない。久米島そばだよ」と称賛され、涙がにじんだ。
7月には即席麺製造のエースコック(大阪府)が「ピリ辛味噌もやしそば」を期間限定で全国発売し、さらに脚光を浴びた。「頑張りなさいという自分へのメッセージなのかな」との思いや、周囲の勧めもあって10年ぶりのフェア出店を決めた。
みんなが食べやすいようにと、出品するのは優しい味わいの島味噌もやしそば。「食べて島を訪問するきっかけになれば」と期待する。フェアでは一杯千円で発売する。