10月の経常黒字、過去最大に 2.5兆円、資源価格が下落

経常収支の推移

 財務省が8日発表した10月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は2兆5828億円の黒字だった。黒字は9カ月連続で、比較可能な1985年以降で10月として最大となった。前年同月は1490億円の赤字だった。資源価格の下落で輸入額が減少し、輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字が圧縮された。

 経常収支の内訳は、貿易収支が4728億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出は半導体不足による生産の制約が緩和した自動車が好調で、前年同月比1.0%増の9兆1066億円となった。輸入は12.1%減の9兆5795億円。石炭や液化天然ガス(LNG)、原油の輸入額が大幅に減少した。

 訪日客が日本で使った消費額から日本人旅行客の海外での消費額を引いた旅行収支の黒字は3207億円で、前年同月の786億円から大きく伸びた。

 海外投資に伴う利子や配当のやりとりの動向を示す第1次所得収支の黒字額は11.9%増の3兆508億円だった。

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