テーマは「環境」 小池知事 アラブ首長国連邦への海外出張

11月29日から12月3日に行った小池知事のアラブ首長国連邦への海外出張についてお伝えします。まずは「環境」がテーマとも言える今回の出張を振り返ります。

アブダビとドバイにあわせて3日間滞在した今回の海外出張。初日のアブダビでは、世界中の環境問題を研究する学生ら約650人が集まる会議に参加し、水素を活用した東京都の取り組みについて発表しました。

発表後、知事は参加した学生らと環境課題について意見交換し、学生からは知事の取り組みへの姿勢や考えについて、質問が相次ぎました。

意見交換をした学生からは…
「東京での取り組みは興味深い。(母国の)インドネシアにどのように適用できるのか見てみたいと思った」

続いて向かったのは、アブダビにある未来型実験都市「マスダールシティ」です。中東に初めて作られた水素を作り出す施設を訪れ、脱炭素化に向けた最新の技術を視察しました。

2日目、ドバイに移動した小池知事は、気候変動対策の国際会議「COP28」に出席しました。中でも自治体のリーダーが集まる会議などに登壇し、都が進めるフィルム型のソーラーパネル「ペロブスカイト太陽電池」の活用について発表しました。この発表をすると、会場にいる参加者が一斉にステージにカメラを向ける場面も。

また、小池知事はこの出張中に、水素の売買を行う取引所を都内に設置する計画を進めていると明らかにしました。

3日間を終え、小池知事は、東京が気候変動に対し、良い例を示していきたいと話しました。

小池知事:「気候変動の影響についてこれまで色々分析行われてきたが、不都合な現実は起こっている。それに対して技術力と金融力、そして様々な力を総合して、日本が世界をリードできるような、そういう体制を確保していく。そこで東京がいい例を示すことが出来たら」

ここからは小池知事の出張に同行した都庁担当の椿原さんとお伝えします。今回、知事は様々な会議に出席しましたが、現場の雰囲気など取材してどう感じましたか?

椿原記者:「今回COP28では、初めて自治体のトップが集まる会議が開かれました。これは温暖化に対し、自治体レベルで対応しなくてはならないという考えからでした。その中で知事が登壇した際、参加者は写真を撮ったり、熱心にメモを取るなど、想像以上に環境に対する都の取り組みが注目されていると感じました。

今回、小池知事は、水素の売買を行う取引所を国内で初めて都内に設置することを明らかにしています」

環境問題において、日本をリードするところを国際的にアピールした形ですね?

椿原記者:「東京都はこれまでにも水素の積極的な活用に向けた取り組みを進めていますが、浸透し切れていないというのも実態かと思います。また、取引所の開設時期などは未定で、内容についても詰めるということですので、どれだけ実現化できるものなのかは、今後、注視する必要がありそうです」

今後の技術でいうと小池知事は、COP28で都が進める取り組みの一つとして「ペロブスカイト太陽電池」を紹介していました。

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶を用いた次世代太陽電池で、従来の太陽電池に比べて薄く軽く柔軟性があるのが特徴です。

この技術は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発見した日本発の技術で、主な原料であるヨウ素は世界産出量の世界2位を日本が占めるなど、日本の新たな発電技術として注目されています。

会議での反応はどうだったんですか?
椿原記者:「知事が実際に手元に持って紹介すると、どの会議でも見ている人が一斉に携帯で写真を撮影する様子が見られました」

日本発の優れた新技術が注目されていますね。

椿原記者:「東京都は現在、積水化学工業と共同で研究を進めていて、2025年まで実施する予定です。ただ、この優れた技術も国際競争にさらされているという現実があります。このように、日本にアドバンテージのある優れた技術も各国間で研究は行われていて、この注目の技術を東京都が、どこまで推し進めることができるのか注目されます」

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