茨城交通、全車キャッシュレス決済 全国初、国交省が認定

茨城交通の路線バス全車に導入される予定のキャッシュレス決済システム。カードタッチ決済やQRコード決済ができる=水戸市袴塚(画像の一部を加工しています)

茨城交通(茨城県水戸市、任田正史社長)のキャッシュレス決済導入・拡充などの取り組みが、国土交通省の「道路運送高度化実施計画」の認定を受けた。運行する約400台の路線バスについて、全国に先駆け全車規模でキャッシュレス決済を導入することが評価された。同社はバス利用時の利便性を高める。計画認定は全国初。同省が7日、発表した。

計画では、同社発行のICカード「いばっピ」を利用するキャッシュレス決済システムに、クレジットカードのタッチ決済、QRコード決済機能を新たに加える。同社運行の全路線バス、全エリアで利用可能だ。国交省関東運輸局によると、キャッシュレス決済システムを全車規模で導入するケースは全国で前例がないという。

タッチ決済やQRコード決済により、いばっピを持っていない県外からの観光客や訪日客も現金を使わずに支払える。降車時の行列の緩和にもつながる。同社はシステムの切り替え準備を終えており、近く実施する予定だ。

決済システムに併せ、定期券などの利用者ウェブ決済サービスも導入・拡充する。定期券の新規申し込みを窓口でなくインターネットでできるほか、継続定期券の更新作業や決済もスマートフォンやパソコンで完結できる。

計画の総事業費は7億6000万円。国交省によると、認定を受けた事業者は鉄道建設・運輸施設整備支援機構から金利の低い融資を受けられるようになるという。融資額は未定だが、同社は国の後押しを受け融資制度を活用する方針。

道路運送高度化事業は、7月に施行された改正地域交通法で、国土交通大臣の認定を受けた事業実施者が交付金や融資、固定資産税の特例措置などの支援を受ける機会を設けた。

同社は8月に①キャッシュレス決済の導入・拡充②定期券などの利用者ウェブ決済サービスの導入・拡充-の2計画を策定し、国交省に提出。11月30日付で認定された。キャッシュレスアプリなどを導入する伊予鉄グループ(松山市)も同時に認定を受けた。

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