“カシオのキーボードで「助けて」と叫んでいる” フィン・ウォルフハード歌唱シーンに込められた想いとは?『僕らの世界が交わるまで』

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ジェシー・アイゼンバーグ初監督作品『僕らの世界が交わるまで』が、2024年1月19日(金)より公開される。このたび、フィン・ウォルフハード演じるジギーの歌唱シーンが解禁となった。

ジェシー・アイゼンバーグ×エマ・ストーン

2022年「サンダンス映画祭」でのワールドプレミア上映を経て、「第75回カンヌ国際映画祭」批評家週間のオープニング作品に選出された本作は、『ソーシャル・ネットワーク』(10)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた経歴を持つ俳優、ジェシー・アイゼンバーグの初長編監督作品。自身がAudible(Amazonのオーディオブック)向けに作った5時間のラジオドラマを基に、ジェシー自ら脚本も担当している。

製作は、『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー賞主演女優賞を獲得したエマ・ストーンが、デイブ・マッカリーと共に設立した映画/TV制作会社「フルート・ツリー」。本作が初製作映画となる。さらに、『ムーンライト』(16)、『ミッドサマー』(19)などを世に送りだし、映画ファンから絶大な人気を誇り、オスカー常連となっている映画会社「A24」も製作・北米配給を手掛ける本作は、珠玉のヒューマンドラマである。

ジギーの自作曲に込められた想いとは?

映像には、フィン・ウォルフハード演じるジギーがSNSで配信ライブをしている様子が映っている。SNS上の2万人のフォロワーの前で自作曲を披露するジギー。披露後は集まったフォロワーたちとコミュニケーションをとりながら、投げ銭をもらう。来週も新曲を披露するとフォロワーに向かって話すジギーの表情は明るく自信に満ちているように見える。

本シーンを含め、ジギーが歌う曲は、ジェシー・アイゼンバーグ監督と作曲家のエミール・モッセリが製作したオリジナル。ジギーの楽曲について、ジギーが作曲したかのような音楽にすることを重視していたとジェシー監督は言う。「ジギーが拾い集めてきた安物の楽器で演奏したかのような楽曲というコンセプトを元にエミールが作曲してくれた。スコアに使用されたメインの楽器は、おそらくは1990年代初頭の12インチのカシオのキーボードで、自分のことにかまってくれない母親の気に触るようなものを作っている感じの楽曲になっている。ジギーが自分の寝室で不快な手作り音を鳴り響かせて、母親の気を引こうとしているかのような感じを出している。カシオのキーボードで『助けて』と叫んでいるんだ」

そんなジギーの心の叫びともいえる楽曲の数々に、フィン・ウォルフハードが歌声を乗せた。ジェシー監督や、エミールとともに楽曲製作にも携わったフィンは、ジギーの楽曲たちが、ジギーという人間を如実に物語っていると話す。「本当のジギーの姿は、音楽を通してしか見えてこない。それは興味深いことだね。さらに、ジギーは才能があるけれども、まだ子どもで、何を言いたいのか、どんなスタイルでやりたいのかを模索しているところだから、曲の半数は大して良くないし、すばらしいのは数曲だけのところが面白いと思った。僕が普段やっている音楽とはかなり違うけど、ジギーは生真面目といえるぐらいに真面目で、音楽を通して感情をさらけ出しているので、そこには何か美しいものがあるんだ」

ジェシー・アイゼンバーグが紡ぎだす、誰にとっても身近な“親子”の物語。身悶えするような共感にあふれた一作を、劇場で見届けてほしい。

『僕らの世界が交わるまで』は2024年1月19日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

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