ファン・ジョンミン「ソウルの春」ハン・ソヒ「夫婦の世界」など悪役演技がうますぎて起こったハプニング

悪役を演じて視聴者に本当に嫌われたら、役者にとってそれは称賛に値するだろう。それほどまでに、実在する人間として人の心を揺さぶったということだからだ。

韓国映画やドラマで、強烈な印象を残した悪役は数多く存在するが、中でも嫌われ役を演じたことで、実生活に起きたエピソードを打ち明けた俳優を韓国メディアのインサイトが掲載、一部引用して紹介する。

1.ファン・ジョンミン
韓国映画界を代表する俳優の一人、ファンジョンミン。社会派映画やノワール作品に多く出演していることで知られ、2021年には映画「人質 韓国トップスター誘拐事件」で本人役として出演し、話題を集めた。

そんなファン・ジョンミンは、11月22日より韓国で公開されている映画「ソウルの春」に出演中。1979年12月12日、首都ソウルで起きた新軍部勢力の反乱と、これを鎮圧するための軍勢力による、一触即発の9時間を描いた実話をもとにした作品だ。実話がモチーフだけに世間の関心は高く、観客動員数は12月6日付で527万人を突破している。

映画「ソウルの春」ではカツラをつけチョン・ドゥグァンになりきった(出典:movie.daum)

ファン・ジョンミンは本作でクーデターを計画し実行した保安司令官、チョン・ドゥグァン役を演じ、観客の怒りの感情を誘発。ソウルのある映画館では、怒りを抑えられなかった観客らが、こぶしでチョン・ドゥグァンの顔を殴って出て行ったことが明らかに。

これを知ったファン・ジョンミンは、舞台挨拶で登壇するたびに「まずは申し訳ない」と頭を下げていたようで、通称〝(役にちなんで)国民への謝罪〟がお決まりになっていたと、イベント参加者から口コミで広まった。

2.ユ・インス
2017年にデビューし、瞬く間にライジングスターへと成長した俳優のユ・インスは、2022年1月より世界同時配信されたNetflixオリジナルドラマ「今、私たちの学校は...」で悪役を演じ、思わぬ事態に遭遇したという(以下、ネタバレ含む)。

同作は、同名ウェブマンガを原作とし、ゾンビウイルスが蔓延したある高校に孤立してしまった生徒たちと、彼らを救おうとする者たちが、一筋縄ではいかない極限の状況下で繰り広げる物語。視聴者から大きな反響を呼び、シーズン2の制作が決定した。

Netflixドラマ「今、私たちの学校は...」ではラスボス的存在、ユン・グィナムを熱演(出典:ユ・インス Instagram)

ユ・インスは劇中、不良グループのエース・ユン・グィナム役を担い、ゾンビから逃れるために平気で人を犠牲にするなど残忍な性格の持ち主で、全ての元凶と言える人物を演じた。

ドラマが公開された当時、自身のSNSに多くのメッセージが届いたそうで「分からない言語で届いたので翻訳機にかけたら、ほとんどが悪口だった」と明かしつつ「これは『演技がうまかったよ』と言われたと受け取っている」と言及した。

3.ハン・ソヒ
いまや男女問わず、多くのファンから支持を得ているハン・ソヒだが、日本で彼女の知名度が高くなったのは、イギリスの大ヒットドラマ「女医フォスター 夫の情事、私の決断」のリメーク作「夫婦の世界」で、不倫女性を演じたことから。

ハン・ソヒは「夫婦の世界」でブレイクを果たす(出典:JTBC)

キム・ヒエ扮するソヌはある日、夫テオ(パク・ヘジュン扮)のマフラーに自分のものではない、長い髪の毛がついているのを見つけたことから、夫の浮気を疑いはじめる。そしてその浮気相手を演じたのが、ハン・ソヒだ。ハン・ソヒが演じたダギョンはテオの子を妊娠し略奪婚に成功するも、元妻であるソヌの存在に脅かされ続けることに。

抜群の演技力で、〝不倫女性〟という役目を果たし視聴者をいら立たせることに成功したハン・ソヒは、このドラマの〝最大の悪女〟と評され、「第5回アジア・アーティスト・アワード」俳優部門で新人賞を受賞。

その後、海外で配信されると、インドネシア人と称する人物たちから悪質コメントが寄せられたという。そしてこの事態を知った海外ファンからハン・ソヒへ、韓国語、英語、インドネシア語で「一部の人の無礼な行動を謝罪したい」「演技力がすばらしかった」などの応援コメントが送られた。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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