朝日新聞政治記者が断言「右と左が一致したら……」第4回 投票率爆上げTV(仮)選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2023年12月4日に公開された動画では、朝日新聞政治部記者の今野忍さんをお迎えして、支持率の低下を続ける岸田内閣と、ポスト岸田についてを解説していただきました。

朝日新聞とあの新聞、内閣支持率のトレンドと何が一致している?

【このトピックのポイント】
・こんな数字見たことない?内閣支持率の低下の中、永田町は
・解散は総理大臣の専権事項だが……
・それで、ポスト岸田はいったい誰?

今野忍さんは、2009年に政治部配属以来、二度の政権交代を最前線で取材。番記者としては菅義偉前首相、そして岸田文雄首相の担当を10年以上され、公明党番などの経験も豊富なベテラン記者です。

「奇跡的」な内閣支持率、永田町はどうなってるの?

内閣支持率の低下が止まりません。

MC山本期日前「減税したら支持率上がるじゃないですか。反対に下がるっていうのは珍しい光景?」

今野忍氏「そもそも20%台をたたき出している時点で、もう奇跡的にすごいことですよ」

ところで、画面に映し出された選挙ドットコムの数字は「まだやさしい方」で、20%台の支持率に対し、不支持率70%台を出すメディアもあるそう。今野氏は「『支持しない』が高いほうが問題じゃないかなあと思う」とつぶやきます。

一般的には、支持率3割を切ったら危険水域と言われる内閣支持率。20%台を出したら退陣と言われる中、コンスタントに20%台を続ける現在の岸田内閣の支持率は「『お前はもう死んでいる』の世界」だと今野氏はコメントします。

いつ退陣となってもおかしくない中、永田町の雰囲気はどうなっているのでしょう。

MC山本「永田町は焦っているんですか?」

今野氏「選挙ないから。自分に切羽詰まってなければ、自民党の議員も『大変だよな自民党』って思いながら、普通にメシ食ってますから、今日もね」

今野氏は、「人間の性でしょうけど、そういうもんじゃないですか」と苦笑いします。

次の自民党総裁選が来年の9月に行われることから、その前に選挙が行われるのではないか、直近のこととして意識する人もいるかという質問に対して今野氏は、総裁の任期と衆議院議員の任期に1年のずれがあることを示します。

・自民党の総裁任期(2024年9月)
・衆議院議員の任期(2025年10月)

現状の支持率で、岸田総理が次の総裁選に出馬しようとすれば「絶対(出馬しないよう)肩を叩かれるだろう」と今野氏は予測します。

総理の衆院解散の専権は「半分だけ」!?

岸田総理が年内に国会を解散させられないとすれば、次のチャンスは年明け、6月までの通常国会の会期中に予算を通過させ、会期末6月末に解散するパターンが美しい、と今野氏は語ります。

6月に解散して選挙に勝てば、次の衆議院議員の任期が4年。国民に選ばれたという成果を掲げて3ヵ月後、9月の総裁選に臨めば「無投票で再選する可能性も出てくる。岸田さんにとって黄金のシナリオ」と予想します。

MC山本「来年の9月まで支持率が低かった場合、それでも解散するのか、しないのか」

衆議院を解散できるかどうかは、総理大臣の専権事項です。

解散せずに総理選に挑み、戦って勝てるかどうかは、すべてその時の支持率によるだろうと今野氏はコメントします。

今野氏「解散するにしても支持率20%台でできますかというと、まあまあまあまあ」

今野氏は、かつて郵政解散総選挙を戦った小泉純一郎氏から聞いた言葉を語ります。

今野氏「総理大臣の権力は、半分しか使えない」

郵政解散の選挙は、国民の支持があってこそ。自民党の反対があっても、国民の熱狂があったから7条解散を行使することができた。衆議院を解散するには、国民の支持があるか、自民党内の支持がないと、総理大臣ひとりの権力で行使できるものではない、と小泉氏は語ったといいます。

今の低支持率の中、総裁の任期が近いから解散すると言っても、より反発が強まることが予想されます。

それで、ポスト岸田はいったい誰なの?

MC山本「ずばり、一番有力なのはどのかたになると思いますか?」

今野氏「誰ですか?逆に」

今野氏は、ポスト岸田はとても難しいと前置きしながら、総裁選の見立てでユニークな傾向を語ります。

今野氏「朝日新聞も産経新聞もだいたい一緒なんですよもう。このふたつが同じだったらもうホントだと思っていいですよ、マスゴミは信じられないとおっしゃるかたも、この2紙が一緒だったら信じていいですよ」

「水と油」の2紙が同じ結果を示したのは、世論調査をした時の内閣支持率のトレンドと、次の総理に期待するランキングです。石破茂氏、河野太郎氏、小泉進次郎氏の3名が並ぶこと、順位がずれてもパーセンテージ1位が15%程度という点まで変わらないとのこと。

今野氏「世論調査は国民に聞いているから。自民党総裁選のルールとあんまり関係ないんですよね」

総裁選は、国会議員と党員で選ばれます。国会議員からの人気で影響するのは、やはり派閥の論理。そこから、「派閥に強いのは圧倒的に茂木さん」であり、岸田氏と同じ派閥の林氏や上川氏がポスト岸田になることもあり得るとの読みが披露されます。

また、現職の総理大臣が自分では出馬できない、総理大臣が続けられないと思った時に次に思うことは、自分を否定されたくない、息のかかった人間にしたいという発想がでてくると指摘します。

自分の派閥である宏池会を愛し、自身が総理大臣になった時に例会で「宏池会政権が25年ぶりにできました」と語ったという岸田氏。「所得倍増計画」を立てた池田勇人氏の流れを酌む宏池会でのポスト岸田氏と目されるのは外務大臣の上川陽子氏です。

女性初の総理大臣といえば、最近勉強会を立ち上げた高市早苗氏も「圧倒的な右のかたからの人気」が強い国会議員です。ですが、今野氏は「ネックなのは党内からの支持があんまりない」と指摘します。

それでも高市氏が前回の総裁選で国会議員票2位を獲得できたのは、「安倍さんの強さイコールの高市さんの強さ」だったと、今野氏は説明します。

今野氏「安倍さんってあんな優しい感じですけど、選挙になるとスイッチ入ってすごいんすよ。電話して『あれだよね、高市でお願いするよ、よろしくね』って清和会の一年生議員に電話して。『わかってるよね、ボク、君の選挙応援に行ったよね』って。優しいけど言ってる内容は優しくない(笑)」

高市氏は清和会を途中で辞めた経歴があり、本来、派閥内での反発がかなり大きいとされています。党内での人気が薄い一匹狼的な高市氏が、安倍氏のサポートがなくなった中、自民党内で20人の推薦人を集められるか疑問だと今野氏は予想します。

ちなみにポスト岸田のメンバーの中で、安倍派から候補になるとすれば萩生田政調会長だとされます。菅氏にも近く、岸田氏からも頼りにされることから総理に近いと目されますが、本人は幹事長を狙っていると公言していると言います。

今野氏「総理を目指しているのは、五人衆の中では西村康稔さん」

そもそも未だに安倍派を名乗っている時点で「安倍晋三さんの存在がでかすぎて、ポスト岸田が生まれるはずがない」と言います。

目先の選挙になってしまえば、自民党はとにかく選挙に勝てる人という観点で、派閥にかかわらず人気者を選ぶ可能性があると今野氏は示唆しますが……。

今野氏「ポスト岸田、隠れ1位がいます」

MC山本「え、まったく見当がつかない……」

隠れ1位は「この中には(ふさわしい人が)いない」の25%。「この中にはいない」という回答が増えるのは、今までの総裁選でも似た傾向があったものの、ここまでではなかったと今野氏は種明かしをします。かつて、日本新党の細川党首が総理大臣になったことがあるよう、予想外の人物が登場する可能性も否定できません。

ポスト岸田については、次の総裁選まで何度か話題に出るはずです。隠れ1位が変わるのか、新たな選択肢が出てくるのか?今後もご注目ください!

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