西鉄陸上競技部直伝!子どもが速く走るコツとは?にしてつかけっこ教室レポート

「自分自身がもっと速く走れるようになりたい」「運動会のかけっこで勝てる方法を、わが子に伝授したい」——そんな想いを抱く人に知ってもらいたいのが、西鉄の実業団「西鉄陸上競技部」に直接速く走るコツを教えてもらえる「にしてつかけっこ教室」。
今回は2023年9月に開催された「にしてつかけっこ教室」に密着し、プロの陸上選手たちが実施しているトレーニング方法や速く走るためのコツを伝授してもらった。

西鉄陸上競技部直伝!子ども向け「にしてつかけっこ教室」

1989年に実業団チームとして創部された西鉄陸上競技部は、14人の選手が日々練習に励んでいる。今年7月には数々の大会記録を持つ設楽悠太選手と9月に設楽啓太選手が新たに加入し、兄弟揃ってチームに在籍し、さらなる高みを目指している。

西鉄が、今年度より開催している「にしてつスポーツ教室」の一環で行われた、小学生を対象とした「にしてつかけっこ教室」。現役の選手やコーチ、監督たちが参加する教室では、選手たちも取り入れている練習法や速く走れるコツを直接教えてもらえるのだ。

走る前の準備運動・ウォーミングアップ

運動前に大事なのが、怪我の予防と体を動かしやすくする準備運動。屈伸、伸脚、腕回し、手首・足首ままわしなどの基本的な動きを、10分ほどかけてじっくりと行うようにする。

準備運動後は軽めにランニング。自分の調子や体の動きを確かめながら普段のペースよりゆっくりと走り、コンディションを整える。

【実践編】速く走るための基礎練習(ドリル)

(久保選手)
プロの選手が最も大切にしているのが、体の動きの基礎をつくる「ドリル」と呼ばれる練習です。陸上競技の練習メニューの中から、特に重要な3つの動きを紹介します。

■ドリル①スキップ

(和田選手)
体を大きく使って、上に高くジャンプ! 脚の動きの切り替えも素早くできるよう意識してください。

■ドリル②ジャンプ

(太田黒選手)
腕を後ろに回しながらジャンプして、少しずつ前進します。肩からしっかりと動かして、ジャンプの時は腕を下から上に大きく振るのがコツ!

(大保選手)
前かがみにならないよう姿勢にも気を付けてくださいね。

■ドリル③もも上げ

(河東選手)
ひざが90度になるようももを上げ、腕をしっかりと振る。速く走るために必要な体幹をつくる練習です。

(久保選手)
すごくシンプルだと感じるかもしれませんが、これこそ私たちが大事にしている基本中の基本!速く走るために必要な、正しい体の使い方を学べるのがこの3つの動きなんです。一流選手たちも取り入れている練習なので、速く走りたい人はぜひ日々の練習の中でやってみてください。

【Q&A】今すぐ速く走れるようになりたい!

速く走るためには日々の練習が大事だが、仕事や家事、子どもの場合は学校や習い事などでなかなか時間が取れないことも。正直、今すぐに速く走れるようになるコツはないものか?! また、日ごろの生活ではどんな点に気を付ければいいのか? 子どもたちが気になる質問を現役選手たちにぶつけてみた。

Q. 体力をつけるにはどうすればいい?

(伊東選手)
1日1日の練習を大切にすること。「継続は力なり」。まさにこの一言に尽きます。私たち実業団の選手も、日々の練習を欠かさないことが第一です。

Q.1カ月で速く走れるようになる方法はありますか?

(吉冨選手)
短距離なら「坂道ダッシュ」がおすすめです。あとは「ドリル」を朝・昼・晩しっかりと。

Q. おすすめの筋トレはありますか?

(久保選手)
腕で体を支えて体幹を鍛える「プランク」がおすすめです。ヨガマットや柔らかいカーペットの上なら自宅でも簡単にできますよ。腰が落ちないよう体をまっすぐに固定するのがポイント!

【指導編】速く走るための教え方のポイントは?

(有隅監督)
早く走れるようになるために重要なのは、ズバリ楽しんで走ることです。子どもでも大人でも、アマチュアでもプロでも、これがいちばん大事。子どもの練習を見るときも、褒めて長所を伸ばし、楽しく走れる環境や関係性をつくることがポイントです。

(石田コーチ)
練習メニューは、相談しながら一緒に決めるか、本人に考えてもらうのも◎。「やらされる」のではなく主体的に取り組むほうが成長への近道です。

(野口マネージャー)
「鬼ごっこ」や「リレー」などゲームや遊びの要素があるメニューを取り入れるのもおすすめですよ。

【応援編】トップアスリートを育てた両親の方針とは?

今年7月に西鉄陸上競技部に加入した設楽悠太選手は、日本の長距離界における第一人者として注目されているアスリートの一人。東洋大学在籍時には箱根駅伝で3年連続区間賞を獲得。

実業団の名門「Honda」入社後は、全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)での3度の区間賞獲得をはじめ、2015年の世界陸上北京大会、2016年のリオデジャネイロ五輪では日本代表に選出された。

2018年には、当時のマラソン日本記録となる2時間6分11秒をマーク。西鉄陸上競技部の甲斐選手とは旧知の仲で、縁あって西鉄陸上競技部に加入が決まった。

今年9月に同チームに加入した、設楽選手の兄・啓太選手も学生時代から数々の好成績を残してきた陸上選手である。そんな設楽選手に、幼い頃の練習環境について振り返ってもらった。

(設楽選手)
兄の影響で小学6年生から陸上を始めました。気付けばこうして大人になっても陸上を続けていますが、やはり大事なのは「走るのを楽しむこと」だと思います。

兄と私、2人ともずっと陸上を続けてきましたが、今思い返すと、両親は成績について言及することなく、温かく見守ってくれていたと思います。おかげで、結果にとらわれ過ぎることなくのびのびと走ってこられたので、今があるんだと実感しています。

今年も西鉄陸上競技部を応援しよう!

花形の大会と言えば、毎年正月に開催される「ニューイヤー駅伝」。その出場チームを決めるため九州予選である11月の「九州実業団毎日駅伝」も注目が集まる大会だ。

年間を通して大会や記録会へ出場するほか、「陸上教室」などの社会貢献活動を積極的に実施しているのも西鉄陸上競技部の特徴だ。

今回の「にしてつかけっこ教室」をはじめとし、小学校や中学校などから依頼があれば、監督やコーチ、選手たちが講演に出向くこともある。

市民ランナーと一緒に大濠公園(福岡市中央区)を走る「大濠公園ランニングクリニック」では、選手と公園内を走りながらフォームの相談などの交流ができると好評だ。

(有隅監督)
子どもたちと一緒に走ると、童心にかえって純粋に走ることを楽しめる気がします。こうした市民のみなさんとの交流で、私たちはいつも元気をいただいていますよ。

(久保選手)
大濠公園で私たちを見つけたら、ぜひ気軽に声をかけてくださいね!

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