【MLB】 1日で6人の先発層を失ったヤンキース 山本由伸への本気度は増すばかり?

写真:山本由伸©Getty Image​

現地6日、球界の度肝を抜く2対5の大型トレードでフアン・ソトを獲得したヤンキース。もともと山本由伸争奪戦の最有力候補にも数えられていた同球団だが、ソト獲得に成功した”激動の1日”の後、山本由伸へのニーズはより切実なものになっているかもしれない。

24時間の間にソト、そしてレッドソックスからもアレックス・バーデューゴを獲得し、ヤンキース打線は瞬く間にアップグレードに成功した。しかし、その代償は決して小さくない。

ヤンキースはソトとバーデューゴの対価、そして同日に行われたルール5ドラフトによって、マイナー上層の有望株からローテ投手にかけての”先発デプス”を6人失ってしまった。

ヤンキースの先発ローテは当然ながら質・量ともに一気に弱体化。8月末から防御率1.88の活躍を見せたマイケル・キング(ソトの対価)が抜け、ローテには大黒柱ゲリット・コール以外に頼れる投手がいない。

2・3番手に入るであろうカルロス・ロドンとネスター・コルテスの両左腕は、昨年は防御率2点台シーズンを送った実力者だが、今季は故障と不振に苦しんだ。コルテスの防御率は5点近く、ロドンに至っては7点台目前、さらに2人とも60イニング程度しか投げられていない。4番手クラーク・シュミットは大きな進歩を見せるシーズンだったが、防御率4.64とフロントスターターの役割を期待するには酷だ。

そして、キングに加えてジョニー・ブリトーとランディ・バスケス(ともにソトの対価)がいなくなった先発5番手には、現時点ではAAAで防御率4.94のクレイトン・ビーターが予想されている。

FAまで残り1年のソトを獲得してしまった以上、コールに次ぐエースはプレーオフを見据えると必要不可欠だ。現状のFA市場でNo.1の先発投手と目されている山本由伸の獲得によって、そのポイントには対処できる。

しかし、”質”の問題は山本でどうにかするとしても、”量”の問題は山本だけではどうにもならないだろう。

昨年のMLBでは、1チーム平均13人の先発投手が起用されている。今季のロドンとコルテスがそうだったように、怪我人は長いシーズンに付き物だ。しかし、ヤンキースは故障者の穴や谷間を埋めていたブリトーやバスケスを放出、さらにルール5ドラフトでもマイナーで待機できる”デプス”の候補を失った。

ヤンキースにはまだまだ投手の有望株がいるとはいえ、ロドンとコルテスの復活頼みでもある現状とあわせ、ローテは”質”・”量”ともに不確定要素が多い。山本の獲得は待望されており、ニューヨークのメディアはソトとの両獲りを指して「YamaSoto」なる造語も作って、その期待感を示している。しかし、もし山本獲得が成っても、ヤンキースにはまだ課題が残されているかもしれない。

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