首相、万博費用「早急に全体像」 省庁に作業指示

参院予算委で答弁する岸田首相=8日午後

 岸田文雄首相は8日の参院予算委員会で、25年大阪・関西万博の整備費増額問題を巡り、会場や周辺インフラの整備など費用の全体像を早急に示す考えを示した。内閣官房や経済産業省に作業を指示したと説明。「国民の理解を得るため、透明性を持って示していくことが重要だ」と述べた。

 共産党の山下芳生氏は「物価高騰で国民が生活費を切り詰める中、万博の経費だけが膨らんでいる」と批判した。首相は「関係者が協力して費用を抑制し、会場整備に万全を期したい」と強調した。

 万博は会場整備費が当初見込みの1.9倍となる最大2350億円に増加。これとは別に、国の負担が約837億円に上ることも判明している。

 少子化対策の財源確保のため検討する社会保障分野の歳出改革に関し、捻出できる予算総額を年末までに提示する考えを示した。社会保険料に上乗せして徴収する「支援金」制度については「全体として国民負担率は増えない」と重ねて説明。一部の世代で負担が増えるとの批判には「世代ごとの負担率を申し上げることはできない」と述べるにとどめた。

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