ブギウギ第10週振りかえり・大空の弟

歌い踊ることを心から愛するヒロインが、やがて戦後を代表するスター歌手となる姿を描く連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK朝ドラ)。12月9日の放送では、「大空の弟」と題する第10週(12月4日〜8日放送)を振りかえる。

六郎に捧げた楽曲『大空の弟』を歌うスズ子(趣里)(C)NHK

■ スズ子、自らの楽団を立ち上げる

ヒロイン・スズ子(趣里)が所属していた「梅丸楽劇団」の解散にともない、スズ子は自らの楽団である「福来スズ子とその楽団」を立ち上げる。楽団には、トランペットの一井(陰山泰)をはじめ、少人数だが腕は確かな面々が揃う。さらに、以前にスズ子の弟子にしてほしいと訪ねてきた小夜(富田望生)も付き人として加わる。

スズ子の元に集まった楽団員たち。写真左から、スズ子(趣里)、三谷(国木田かっぱ)、四条(伊藤えん魔)、二村(えなりかずき)、一井(陰山泰)(C)NHK

しかし、スズ子が得意とするジャズが「敵性音楽」とみなされたこともあり、楽団には公演の依頼がまったく来ない。逆境に負けずビラ配りに精を出すスズ子だったが、父・梅吉(柳葉敏郎)のもとに衝撃的な知らせが届く。それは、スズ子の弟・六郎(黒崎煌代)が戦死したという一報だった。

■ 弟・六郎の戦死を伝える一報に絶望

あまりの出来事に、スズ子と梅吉は現実を全く受け入れられないまま一晩を過ごし、下宿屋の女将・チズ(ふせえり)や小夜は愕然とする二人を心配して寄り添う。なんとか悲しみを抑えて気丈に振る舞うスズ子だったが、その矢先に始まった米英との開戦に人々は歓喜し、街中に「バンザイ」の声が響き渡る。六郎の死から立ち直れずにいるスズ子は、絶望を抱えたまま笑顔を作って人々とともに「バンザイ」と叫ぶのだった。

絶望に打ちひしがれるスズ子(趣里)に寄り添う小夜(富田望生)(C)NHK

作曲家の羽鳥(草彅剛)もスズ子を心配しており、スズ子は羽鳥から一緒に食事でもしようと自宅に誘われる。スズ子が羽鳥家を訪問すると、そこには歌手の茨田りつ子(菊地凛子)も招待されており、羽鳥の提案で合同音楽会を開くことになる。

一方、愛する息子を失った梅吉は「いちからやり直したい」と故郷の香川へ戻って幼なじみの繊維工場を手伝うと言い出す。突然の発言に引き止めるスズ子だが、梅吉は聞く耳を持たない。苦しみのあまり歌うことすらできなくなったスズ子に、羽鳥は「君が話してくれた六郎君への思いを歌にしたんだ」と、書き下ろした楽曲『大空の弟』を捧げるのだった。

■ 六郎に捧げる『大空の弟』

ほどなくして、スズ子と茨田りつ子の合同音楽会が開催される。「スウィングの女王」のスズ子と、「ブルースの女王」のりつ子の共演は話題を呼び、客席は満員。梅吉も、六郎から託されたカメを連れて客席で見守っていた。

りつ子の渾身のスピーチと歌声が響き渡ったあと、出番を迎えたスズ子は『大空の弟』を熱唱。六郎のことを思い泣き崩れるスズ子だったが、なんとか立ち上がると六郎の戦死以来スズ子が歌えなかった『ラッパと娘』を続けて披露し、会場は大歓声に包まれるのだった。

公演後に梅吉(柳葉敏郎)と並んでおでんを食べるスズ子(趣里)(C)NHK

本作は、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した歌手・笠置シヅ子さんをモデルに、歌の才能を開花させて上京したヒロインが、昭和を代表するスター歌手として激動の時代を生き抜いていく物語。

© 株式会社京阪神エルマガジン社