2024年最初の「金曜ロードショー」は「千と千尋の神隠し」。日本のレトロな世界観にも注目

日本テレビ系で、2024月1日5日放送の「金曜ロードショー」(金曜午後9:00)では、スタジオジブリ作品「千と千尋の神隠し」を放送する。

「千と千尋の神隠し」は、ある日「不思議の町」に迷い込んだ10歳の女の子・千尋が、そこで出会った魅力的なキャラクターたちとの交流を通して成長していく物語。2001年の夏に公開され、公開後は1年以上のロングランとなり、最終的に興行収入316.8億円という驚異的なヒットを記録して国民的アニメーション映画と称された。国内だけでなく世界的にも高い評価を受け、米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞、ベルリン国際映画祭の最高賞である金熊賞ほか、数多くの賞を受賞した。

22年には東宝とスタジオジブリがタッグを組み、橋本環奈と上白石萌音のダブル主演で初めて舞台化され、演劇作品としてもヒット。そして、24年には、川栄李奈と福地桃子をさらに主演に迎え、4人のローテーションで全国5大都市で再演。また、初の海外公演として、ロンドンでの上演も決定している。

千尋が迷い込む不思議の街には、赤ちょうちんが並ぶ歓楽街だったり、温泉や風呂屋、神社など、どこか見慣れたような日本的ないろいろなモチーフが登場。だが、具体的に舞台となっている実際の場所はないのだとか。そんな中でも、大いに参考にしたという場所が「江戸東京たてもの園」。小金井市にあるこの博物館は、江戸東京博物館の分館で明治や大正時代の民家や商店などを集めて移築・復元している野外博物館だ。そこには、「千と千尋の神隠し」のモチーフとなった日本的な構造物が残っている。

関東大震災後に建てられた店屋は、建物の前面に看板を兼ねた衝立のような外壁をもって造られた。その外壁は自由な装飾で、洋風なものや、アーティスティックなものも。昭和初期の東京下町の街並みのような風景は、本作でも感じることができる。

また、「江戸東京たてもの園」に保存されているのが、武居三省堂という文具店は明治初期の創業で、中に入ると内壁一面に無数の小さな木製の引き出しが取り付けられていて、釜爺のいるボイラー室が思い出される。当時はこの引き出しにさまざまな種類の筆を分類して入れていたそう。

そして、同園には「子宝湯」という銭湯もあり、富士山が大きく描かれたペンキ絵や、大型タイルで美しく豪華な上絵を描くタイル画が目を楽しませてくれる。浴室に絵を描くのは、日本の銭湯に大変よく見られたが、本作の油屋の風呂場の壁にも豪華絢爛(けんらん)な絵が描かれている。

新年最初に見る「千と千尋の神隠し」では、日本のレトロな世界観にも注目したい。

また、1985年に始まった「金曜ロードショー」。翌86年には「風の谷のナウシカ」を初放送し、これまで200回以上、スタジオジブリ作品を放映してきた。そんな番組の歩みをたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」が、富山県美術館で1月28日まで開催中。

放送された時代ごとの記憶と記録を通じてジブリ作品の魅力に迫るほか、昭和から令和へ、時代ごとの世相を掘り起こすことで、作品の時代性と普遍性を浮かび上がらせる。また、「風の谷のナウシカ」に登場する“腐海”に飛び込んだかのような空間、さらには宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」のゾーンも。ジブリ作品の世界観を楽しむことができる。

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