新NISA対応も!今注目のロボアドバイザーをどう活用する?金融アナリストが解説

OpenAIが2022年11月に公開した対話型AIであるChatGPTが注目され、生成AIは今年の投資テーマといえるワードでした。ハイテク銘柄が今年の上昇をリードしましたね。12月1日に発表された2023ユーキャン新語・流行語大賞では、大賞は阪神タイガースの今季スローガン「アレ」でしたが、生成AIがトップ10のなかに選出されました。テクノロジーの進化は、中長期的に投資テーマの一つと言えそうです。


AI取引により価格の変動幅が上昇

テクノロジーの進化は、投資業界にも大きな影響をもたらしています。特に自動売買やアルゴリズム取引が主流となる中、市場の動きやボラティリティー(価格の変動幅)にも変化が見られるようになりました。アルゴリズム取引や自動売買は、あらかじめ設定された条件に基づいて、高速で取引を行う技術であり、これにより、人の判断を介さず、瞬時に大量の取引が行われるようになっています。自動売買の普及により、市場の反応速度が格段に上がりました。これにより、特定の情報やニュースに対する市場の反応が以前よりも迅速になり、価格の変動が激しくなることが増えました。結果として、ボラティリティーが高まる傾向にあります。またFX取引のスキャルピング(短い時間のトレード)ではA Iの売買と思われるような値動きに度々遭遇します。

高ボラティリティーの中での投資を成功させるためには、従来の投資戦略の見直しやリスク管理の強化が必要です。また、自動売買やアルゴリズム取引に対応するための新しい戦略や手法を学び、理解することは今後大切になってくると思いますし、それを取り入れることも投資のリターンでプラスになることもあるでしょう。

方法の一つとして、ロボアドバイザーという新たな投資の形態も注目されています。
従来の金融アドバイザーが提供してきたサービスの多くが、テクノロジーの進化によって変革されつつあり、ロボアドバイザーはその先駆けとも言える存在であるといえそうです。未来の投資では、より洗練されたアルゴリズムやAI技術が投資判断の一助として活用されることが予想されます。

手軽にAIを取り入れられるロボアドバイザー

ここからは、投資初心者の方でも調べれば活用できるロボアドバイザーの特徴や魅力を解説し、テクノロジーがどのように投資の世界を変革しているのかをご紹介します。

ロボアドバイザーとは、アルゴリズムを基にした自動的な資産運用サービスのことを指します。ユーザーの投資目的やリスク許容度に合わせた資産配分の提案や自動での資産運用を行ってくれるオンラインサービスです。従来の金融アドバイザーが人の手によって行っていた投資アドバイスを、コンピュータプログラムが行う形となります。

人的リソースを必要としないこと、そのため感情や先入観に左右されず、データに基づいた客観的かつ合理的な投資判断が得られるほか、どこからでもオンラインで投資の管理やアドバイスの受け取りが可能でアクセスが容易であること、総じて運用する商品選びやポートフォリオ管理が簡単であることがメリットといえます。インデックス投資より高いリターン(リスク許容度も高い)の投資を考えている方、自分で銘柄選びやポートフォリオを組むことを面倒だ、難しいと感じる方向きと言えるのではないでしょうか。

デメリットや懸念点は?

デメリットとしては、基本的に人との対話によるアドバイスは得られないことや、全ての投資家に一律のアドバイスが行われる場合があるため、個別のニーズに応じたカスタマイズが難しい可能性があります。ご自身のパーソナリティに合わせて自分で選ぶことが必要であること、市場の変動などに対する柔軟な対応が難しくなる場合があり(人と違って直感などはありません)テクノロジーに過度に依存することは危険だということなどが挙げられそうです。また、投資のリテラシーが上がらないのもデメリットと言えるでしょう。

そのほか、提供される投資商品が限られている場合があるので、幅広い投資先を求める方には不向きかもしれません。従来の投資顧問サービスと比べると安い場合が多いですが、手数料は総じて高めで、コストがかかるという点にもご注意ください。

活用する上で必要なこと

ロボアドバイザーを活用するにはご自身の目的の明確化や自身の投資目的やリスク許容度に合ったサービスを選ぶことさえできれば、専門的な知識が不要といえるサービスですので、初心者でも簡単に投資を始めることができます。

AI全般に言えることですが、自分でどんな投資をしたいのか考える力、指示出しをする力は必要で、ただ一度しっかり指示を出せば運用型(投資一任型)はかなり投資の手間を省くことができますし、助言型で自分が調べる労力を割くことができる、ということですね。

また助言型のロボアドバイザーでも自動リバランス機能が搭載されていたり、税制面の最適化を行ってくれるなど、さまざまな機能を搭載しているものもあるので、活用すれば運用の際のメンテナンスの手間を省略することに役立ちそうです(ロボアドバイザーによるので調べることは必須)。

新NISA対応も

来年から新たな制度となるNISAに対応するロボアドバイザーもあります。例えば楽天証券との提携を発表したウェルスナビは、「入金するだけで、非課税枠(つみたて投資枠/成長投資枠)を活用しながら、自動で資産を購入」するとのこと。

NISA口座で運用すれば、利益が出た時に非課税となるので、利益を確保しやすくなりますし、初期連携するだけで、自動的にNISA口座で取引してくれます。ロボアドバイザーはすべてがNISA対応ではありませんので、各ロボアドバイザーの提供するサービスや手数料、投資先の内容をしっかりと確認することが必要です。

テクノロジーの進化は、私たちの投資スタイルや考え方に大きな変化をもたらしています。ロボアドバイザーのような新しい投資手法を理解し、上手に活用することで、これからの資産運用に新しい風を取り入れることができるでしょう。しかし、ロボアドバイザーの提案をそのまま受け入れる場合でも、最終的な投資判断は自己責任です。テクノロジーの進化に過度に依存せず、自らの判断も大切にすることを忘れずに、賢明な投資を心がけましょう。

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