鹿島市古枝の祐徳稲荷神社で8日夜、300年以上続く歳末の神事「お火たき」があった。境内に詰めかけた参拝客は、冬空を焦がすように高く燃え上がった御神火(ごじんか)を囲み、来る年の幸せを願った。
午後8時頃、神職が竹と木で組まれた高さ約8メートルの「お山」に松明(たいまつ)で火をともすと、パチパチという音とともに火柱が上がった。参拝客から「わーっ」と歓声が沸き、炎が朱塗りの社殿をより赤く染めた。
鍋島朝寿宮司は「新型コロナウイルス禍を超え、本当の笑顔が戻ってきたように感じる」と話した。
お火たきは、秋の収穫を見守った神霊に感謝をささげ山へ送る「送り火」とされ、新嘗祭(にいなめさい)の夜に行われている。(山口源貴)
◇
年の瀬が迫る中、企画「師走スケッチ」では各地の暮らしや催しの情景を切り取る。随時掲載。