現在、第7次計画終盤…さいたまの順大新病院、県の整備費用負担「何ら決定なされず」 知事、県議会で言及

順天堂大学医学部付属病院の整備予定地=2021年、埼玉県さいたま市緑区

 埼玉県さいたま市美園地区での順天堂大学付属病院計画をめぐり、大野元裕知事は8日、県議会で「第6次地域保健医療計画期間中の2014年度に誘致し、第7次計画が終わろうとしている現在も整備されていないことは残念に思う」と述べた。

 整備費用負担に関しては「大学が将来行う医師派遣の人数などを勘案し財政支援を行うこととしている」と述べ、補助対象については「派遣人数など条件が整った後に協議となるため現時点で何ら決定はなされてない」と協議を進めていないことを明らかにした。深谷顕史県議(公明)の一般質問に答えた。

 1日に開かれた県医療審議会では、大学側が11月までに行った基本設計が示された。医師派遣をめぐっては、大学側が提示した「開院後3年までは年間1~2人」との派遣人数について一部の委員から「少なすぎる」と反発があり、答申が見送られた。現在、済生会加須病院に研修医1人が派遣され、他の病院への今年度中の派遣予定については、小川赤十字病院と秩父市立病院で協議が進められているという。

 基本設計によると、放射線による高度ながん治療を行う陽子線施設をはじめ、救命救急センター、周産期母子医療センター、ドクターヘリのヘリポートなどが整備される。陽子線施設は実現すれば県内では初。病床800床という規模は県内でも上位の大病院となる。また、VIP専用出入り口や河川上空通路なども備える計画とされた。

 県と大学側は以前交わした確認書で「医師派遣などの取り組みを勘案」し、補助率2分の1の範囲内で県が整備費用を補助することを約束していた。県保健医療政策課によると、大学側は整備費用の具体的な額をすでに県に提示したという。

 深谷県議は一般質問で「県負担が相当な規模になると予想され、総額や条件などは活発な議論や県民が納得する説明が必要」と述べ、補助対象の施設や補助率の説明を求めた。大野知事は「公開により円滑な協議ができなくなる恐れがある。大学側も建設工事の契約締結に支障があるとの懸念により公開を望んでいない」ことを理由に挙げ、「答弁を差し控える」とした。

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