映画「火だるま槐多よ」出演の遊屋慎太郎、台本が抽象的で難しかった!

12月23日(土)から1月12日(金)まで3週間新宿K’s cinemaにて公開される、天才画家・村山槐多に魅せられた現代の若者を描くアヴァンギャルド・エンタテインメント『火だるま槐多よ』。
作品の中で「私がカイタだ」と名乗る謎の男・槌宮朔役を俳優の遊屋慎太郎が演じ、大正時代の画家・村山槐多の「尿する裸僧」という絵画に魅入られた法月薊役を佐藤里穂が演じる。
編集部では遊屋に作品の撮影秘話、芸術について聞いてみた。

――遊屋さんが感じた『火だるま槐多よ』はこんな映画
村山槐多という実在した画家に迫っていく映画と聞いて、オーディションを受けて、クランクインまでに槐多さんの小説を読んだり、絵画をたくさん見させてもらいました。この作品は、現代の映画で村山槐多にどういうふうに太刀打ちできるか!? そんな作品だと思って臨みました。

――役作りが大変だったんじゃないですか?
そうですね‥とっかかりもなかったし、村山槐多さんがどんな方なのか情報もあまりなかったし、とりあえず絵をたくさん見たり小説よんだりとかして、槐多さんの人物像を自分のなかで創って‥まぁ自称乗り移りで、村山槐多自身を演じる訳ではないですからね。村山槐多が残した芸術をどのように再解釈して表現できるかに重点を置きました。

――演じるにあたって想像力を相当つかったのでは?
そうですね、脚本が本当に抽象的で、映画の脚本というよりは詩のような感じなんですよ。また、表現の仕方も抽象的なので、これがどういうふうに映像化されるのか現場に行かないとわからなくて、難しかったですね。

――撮り終えた達成感は?
めっちゃありました!とにかく余力を残して終わることだけは無くそうと、全力で、全部使い切ろう!と挑んだので、終わって完成した作品を見るのがすごく楽しみでした。
たいそうな言葉にはなりますけど、僕の芸術作品でもありますね。今までは日常のシーンを演じることがほとんどだったのですが、この作品では、ほとんどのシーンが初めて経験するものでした。

――みどころは
映画の中で見る、色とか言葉、それが観た方の脳裏に瞬間的に刻み込まれる作品だと思うので、それをどう持って帰ってもらえるか‥だと思います。

――好きなシーンは?
撮影して思い出に残っているところになってしまいますが、砂浜を裸で走るシーンです。(笑) 初めてだったし、たぶんこの先することはないだろうなって。
靴下を被せて、あえて固定しないで揺れるようにしてたんですけど、映像的にアリなんですよね。で、放尿して倒れるんですが、監督は「尿の勢い=生」というところにすごく拘っていました。

――撮影はいつだったんですか?
去年の(2022年)12月14日から29日まででした。半分は富士宮の洞窟でした。発電機を持っていき、洞窟の中にスクリーンを立ててカッコよかったですよ。

――大変だったシーンは?
浜辺を走るシーンは開放的で楽しかったんですけど、僕が演じる朔と佐藤里穂さん演じる薊が裸で絡み合うシーンで、上から血のりが降ってくるのは‥大変でしたね。佐藤さんが特に大変そうでした。一発目の血のりが佐藤さんの眼に入ったんですよ、それから目が開けられないので体だけで動きを感じて演技をしたんです。僕も無我夢中だったので、佐藤さんから後から聞いた話なんですけどね(笑)。
で、また現場がめちゃくちゃ寒いところで、血のりも冷たくて、冷水を浴びた状態で、動こうとしても体が震えちゃって。撮り終えて血のりを浴びたまま車に乗って支度場まで帰ったんです。そうしたらスタッフさんが温かいお風呂を用意しておいてくれていて、天国でした。

――なにか寿保組に関してエピソードはありますか?
オーディションの時に絵を描いたんですよ! 監督が、みんなに村山槐多の絵を渡して「これを描いてくれって」。僕は絵を描くのが好きなのでそれがすごく楽しくて。その場で監督も同時に描いて、監督が描いた絵も見せてくれました。たぶん監督は絵に対してどんなアプローチができるか、そんなところを感じたかったんだと思います。同じ絵からも人によって感じ方、捉え方が全然違いますね! 他にも音を流すから踊ってみてくれと言われました。でもダンスじゃダメなんですよ、変なこと、いろいろしてましたね。
他にも、台本には「換骨奪胎」ダンスをするとか書いてあったりと‥楽しかったですね。

――最後に、遊屋さんが思う芸術とは?
誰かと何かを話すきっかけ、ですかね‥ 例えば絵が一枚あったときに、これを元に誰かと話せる、そういうものが芸術としてすごく価値のあるものなのかな。映画とかも自分ひとりで噛みしめるのも良いですけど、誰かに話したいとか、お互いの考えを共有しながら自分の考えに至るのかな。自分を知るし、相手も知ることができる、作る側も自分の素をさらけ出せれば意味があるのかなと思います。

――映画のPRどうぞ
たぶん、ビジュアルなどとっつきづらい映画だと思いますし(笑)、、村山槐多って誰だって方も多いと思うんですけど、一回それを考えずに観てもらえたら、何か持って帰ってもらえるものがあると思います。

【プロフィール】
遊屋慎太郎 (ゆうや しんたろう)
1992年5月31日生まれ。31歳。
静岡県出身

――こんな休日を過ごしてます
ランニングしてますね!ボクシングは今はやってないんですけど、基本フットサルとか運動することが好きですね。高校3年までサッカーやってました。

――静岡の美味しい物は?
お茶かな、家では必ずあったし、美味しかったですね。実家がお茶を作ってるっていうのもありますけどね(笑)。

――愛用品
アップルウォッチ。心拍数を結構気にしてて、安静時の心拍数を下げたくて。防水ですし手放せません。

<火だるま槐多よ イントロダクション>
夭逝の画家、詩人-村山槐多が蘇る世界をガランスに塗りつぶせ!

映画『火だるま槐多よ』は、22 歳で夭逝した天才画家であり詩人の村山槐多(1896 – 1919)の作品に魅せられ取り憑かれた現代の若者たちが、槐多の作品を彼ら独自の解釈で表現し再生させ、時代の突破を試みるアヴァンギャルド・エンタテインメント。タイトルの由来は、槐多の友人・高村光太郎の詩「強くて悲しい火だるま槐多」である。

“ピンク四天王”と称される佐藤寿保監督が、槐多の代表作である自画像”尿する裸僧”と出会い、槐多の感性に感銘を受け、「現代人の眠っている潜在意識を呼び起こし感応させるのだ!!」と本作の制作を決意。脚本は、『乱歩地獄 / 芋虫』『眼球の夢』などでタッグを組む夢野史郎が担当し、槐多の死後、友人たちの熱望によりデスマスクがとられた事実なども盛り込んだ本作が完成した。

W主演の槌宮朔役には、『佐々木、イン、マイマイン』などの遊屋慎太郎、法月薊役には『背中』で映画初主演を飾った佐藤里穂を抜擢。パフォーマンス集団の元村葉役に工藤景、民矢悠役に涼田麗乃、庭反錠役に八田拳、早川笛役に佐月絵美が集結し、研究施設を脱走した4人を観察する亜納芯役で田中飄、朔を見守る式部鋭役で佐野史郎が脇を固める。

音楽は、ジャンルを越境した破壊力抜群の前衛ビートで国内外で絶大な人気を誇る異端のアーティストSATOL aka BeatLiveと、舞踏や現代美術などとのコラボレーションで国際的な注目を集め、人間環境学博士でもある異色ミュージシャン田所大輔の二人が、それぞれの持ち味で槐多の摩訶不思議な世界を彩った。

<あらすじ>
大正時代の画家・村山槐多の「尿する裸僧」という絵画に魅入られた法月薊(のりづき・あざみ)が、街頭で道行く人々に「村山槐多を知っていますか?」とインタビューしていると、「私がカイタだ」と答える謎の男に出会う。その男、槌宮朔(つちみや・さく)は、特殊な音域を聴き取る力があり、ある日、過去から村山槐多が語り掛ける声を聴き、度重なる槐多の声に神経を侵食された彼は、自らが槐多だと思いこむようになっていたのだった。

朔が加工する音は、朔と同様に特殊な能力を持つ者にしか聴きとれないものだが、それぞれ予知能力、透視能力、念写能力、念動力を有する若者4人のパフォーマンス集団がそれに感応。彼らは、その能力ゆえに家族や世間から異分子扱いされ、ある研究施設で”普通”に近づくよう実験台にされていたが、施設を脱走して、街頭でパフォーマンスを繰り広げていた。研究所の職員である亜納芯(あのう・しん)は、彼らの一部始終を観察していた。

朔がノイズを発信する改造車を作った廃車工場の男・式部鋭(しきぶ・さとし)は、自分を実験材料にした父親を殺そうとした朔の怒りを閉じ込めるために朔のデスマスクを作っていた。薊は、それは何故か村山槐多に似ていたと知り…

<村山槐多(むらやま・かいた)プロフィール>
1896–1919。大正時代の日本の画家で、詩人、作家でもある。
従兄の山本鼎(画家)に感化され画家を志し、中学生(旧制)の頃より美術、文学に異彩を発揮。ガランス(深紅色)を多用した独特の生命力に溢れた絵画は、二科展、日本美術院展などに入選し、異色作家として注目されたが、破滅的な放浪生活の末、流行性感冒で 1919年2月20日死去。
主要作に、絵画「カンナと少女」「湖水と女」「尿する裸僧」、詩集「槐多の歌へる」(遺稿集)、小説「悪魔の舌」など。

◆火だるま槐多よ
出演:遊屋慎太郎 佐藤里穂
工藤景 涼田麗乃 八田拳 佐月絵美
佐野史郎
監督:佐藤寿保 脚本:夢野史郎 音楽:SATOL aka BeatLive、田所大輔
配給:渋谷プロダクション
2023/日本/カラー/5.1ch/1:1.85/102分
©2023 Stance Company / Shibuya Production
12月23日(土)〜1月12日(金)新宿K’s cinema他全国順次公開
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