久米島の偉人、現代版組踊に 中高生が5年ぶり沖縄本島で公演 9、10日タイムスホール

歌や踊りで地元の偉人を紹介する「現代版組踊 月光の按司ガサシワカチャラ」に出演する小中高校生たち=2日、久米島町の具志川農村環境改善センター

 沖縄県久米島の小中高校生41人が出演する「現代版組踊 月光の按司(あじ)ガサシワカチャラ」が9、10の両日、那覇市久茂地のタイムスホールで上演される。沖縄本島での公演は5年ぶりで、配役が決まった夏以降、稽古に励んできた。児童生徒たちは「観客を引き込む演技がしたい」と意気込む。(南部報道部・又吉健次)

 ワカチャラは14世紀後半~15世紀前半、久米島町役場北方の登武那覇グスクを拠点にしたといわれる按司。有望な人物だったことが父のねたみを誘い自害に追いやられた-と読める記載が王府時代の歴史書にあり、地域では知られた偉人だ。

 島で2011年度にあった別の現代版組踊上演を機に、「地元の歴史を題材にした舞台を」との機運が盛り上がりワカチャラが選ばれた。出演者も脚本もない状態から始まって14年に島内で初公演し、芝居を見た子どもが参加して年2回ほどの上演が続く。

 今回出演するのは小学校6年から高校3年の男女。夏にダンスを踊るか役者になるかを決めて、8月ごろから稽古が始まった。本番1カ月前からは週3回練習することもあり、仕上げの時期に入っている。

 主役を演じる久米島高校3年の名嘉真衣子さんは、舞台に出る姉の姿に憧れてメンバーに加わった。時代も性別も違うため役作りに苦労するが「せりふを読むと優しさが伝わってくる。みんなが興味を持ってもらえるような演技がしたい」と瞳を輝かせる。

 同高1年の吉原幹太さんは、島の未来を思うばかりに王府に従いワカチャラを裏切る堂之比屋を演じる。「島の将来を思う心とワカチャラを裏切りたくない気持ちのある複雑な役。目線の動きや声のトーンで表現したい」と意気込む。

 公演は9日午後4時半、10日午後1時に開演。チケットは全席自由で大人2千円、高校生以下千円。タイムスビル3階のタイムスホールで入場券を発売する。

踊りの動きの確認など稽古に励む小中高校生たち=11月22日

© 株式会社沖縄タイムス社