認知症 診断直後から経済支援必要 岡山でケア学会中国・四国大会

シンポジウムなどを通じて、認知症のある人への経済支援を考えた日本認知症ケア学会中国・四国ブロック大会

 日本認知症ケア学会中国・四国ブロック大会が9日、岡山市北区駅元町の岡山コンベンションセンターで開かれた。当事者や家族への経済支援はどうあるべきかがテーマ。約430人が出席し、講演やシンポジウムを通じて、医療と福祉が連携し、診断直後から切れ目なく支援を継続する必要性について考えた。

 大会長の竹本与志人(よしひと)岡山県立大保健福祉学部教授は講演で「経済支援は命に関わる重要な問題」と断言。生活の困窮は、家族らが援助を制限し、最悪の場合、心中や殺人事件につながってしまうケースもあるとし「専門職が継続的、計画的に関わり、将来を見越したオーダーメードの支援が重要」と訴えた。

 シンポジウムは、当事者や介護家族と支援者、地域包括支援センターや居宅介護支援センター、医療機関などの立場から現状と課題、実際に担当した事例などが発表された。介護家族は「使える制度を知らない人も多い。診断直後だけでなく病状の進行後などについても相談に乗ってほしい」と要望。若年性認知症の人は「支援は老年期の人が前提になっていないか。働き盛りが退職すれば収入が途切れる。仕事を続けられるような情報提供もほしい」と話した。

 出席者は当事者にとって社会保障制度を知る機会が少なく、支援が途切れてしまう期間があることを認識。専門職の知識の底上げを図るとともに、早期の経済評価に視点を置く支援の重要性を確認した。

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