菅前首相、岸田内閣惨状で「反撃の機会」も発言慎重 「ひでえよな」にとどめる背景は

写真左から菅義偉前首相、岸田文雄首相(資料写真)

 岸田文雄内閣の混乱を巡り、菅義偉前首相(衆院神奈川2区)が発言に慎重だ。自民党で無派閥を貫き退陣を余儀なくされた過去を踏まえれば、主要派閥が関わったとされる政治資金パーティー券収入キックバック問題は「反撃の機会」(菅氏周辺)。しかし「ひでえよな」などと周囲に短く感想を漏らすにとどめている。背景には「少しでも動けば内閣どころか政権自体が倒れかねない惨状だから」(同)と温情とも危機感ともとれる現実があるようだ。

 「派閥に居続けることが国民にどう見えるかを意識する必要がある。派閥政治を引きずっているというメッセージになる」。菅氏は今年1月発売の月刊誌「文芸春秋」のインタビューで首相就任後も派閥会長を続けた岸田首相に派閥政治との決別を促した。

 首相はその後も菅氏と面会した際に派閥と距離を置くよう促されたが一顧だにしなかった。今回の問題を受け、ようやく派閥会長を辞し、当面の派閥パーティー開催を自粛する方針を表明したものの、8日の衆参予算委員会では「まるで的外れ」(立憲民主党の後藤祐一氏=衆院16区)などと野党から酷評された。与党内からも「閣僚や党役職者も派閥から外すぐらいしないと、とても国民から理解を得られない」(閣僚経験者)と批判が相次ぐ。

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