ウクライナ支援で一致 「新たな犯罪」討議 G7水戸会合 茨城

G7水戸内務・安全担当相会合で記念撮影する各国閣僚ら=9日午後、水戸市民会館

茨城県水戸市で8日に始まった先進7カ国(G7)内務・安全担当相会合は9日、水戸市民会館を会場に本格的な議論を始めた。ウクライナ支援の議論では、オンラインで参加した同国のクリメンコ内相が治安の改善に向けた支援を求めた。取材に応じた議長の松村祥史国家公安委員長は「支援を継続することで一致し、G7の固い結束を確認できた」と述べた。最終日の10日に声明文をまとめる方針。

会合で松村氏は「治安分野で二つの困難に直面している」と述べ、力による一方的な現状変更の試み、技術発展に伴う脅威の増大に懸念を示した。

クリメンコ内相は、ロシアの侵攻を受けて混乱が続く国内の治安状況を説明。拳銃などの小火器が市民社会に出回り、規制が難しくなっていると報告した。

日本は犠牲者の身元特定のためウクライナ国家警察に鑑識技術を伝えるなど支援している。G7各国もロシアによる戦争犯罪への捜査などを続けている。

サイバー空間の脅威をテーマとした会合では、セキュリティー能力が低い発展途上国のネットワークがサイバー攻撃の標的にされる可能性があるとして、G7が対処能力の向上を支援していく方針などが議論された。

交流サイト(SNS)での偽情報拡散や、生成人工知能(AI)の犯罪利用など新たな治安課題も討議。AIで生成された児童ポルノに対する懸念が示され、各国の捜査機関でAIを活用した効率的な削除などについて議論した。

会合には米国土安全保障省など各国治安部門の代表者、国際刑事警察機構(ICPO)事務総長らが出席した。

10日は特殊詐欺を初めて議題に取り上げる。欧米でも被害が問題となり、日本では海外拠点の詐欺グループの摘発が相次ぐなど、国境をまたぐ犯罪組織に対して連携を強化する。パレスチナ自治区ガザ情勢を巡って過激派組織や、単独で行動する「ローンオフェンダー」によるテロへの懸念も高まっており、各国が対策を話し合う。

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