医師と患者けが、診察室に発砲した疑い…男を再逮捕へ 患者に付き添う妻は無事 その後1.5キロ先で立てこもり銃撃「病院に不満あった」

男が立てこもった蕨郵便局の手前で盾を持ち警戒する警察官ら=10月31日午後4時10分ごろ、埼玉県蕨市中央5丁目

 10月31日、埼玉県蕨市の蕨郵便局に拳銃を持った男が女性局員2人を人質に約8時間立てこもり逮捕された事件で、県警は立てこもる前に戸田市の戸田中央総合病院で診察中の医師らを銃撃したなどとして、無職の男(87)=戸田市新曽=を勾留期限となる11日にも、殺人未遂や建造物損壊、銃刀法違反(発射、加重所持)の疑いで再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、男は同日午後1時15分ごろ、屋外から病院1階の診察室に向けて拳銃1発を発砲。診察中だった40代の男性医師と60代の男性患者、付き添っていた患者の50代の妻を殺害しようとした疑いが持たれている。医師と患者はいずれも頭部に全治約3週間のけが。患者の妻にけがはなかった。

 捜査関係者によると、男は同病院への通院歴があり、「病院の対応に不満があった」という趣旨の供述をしていたという。逮捕後の調べで「自分が撃った」と関与を認めている。

 男は病院での銃撃後、病院から北へ約1.5キロ離れた蕨郵便局で、局員や利用者を退避させていた警察官1人と路上で警戒していた警察官8人に対して計2発撃った殺人未遂や、女性局員2人を人質に取った人質強要処罰法違反の疑いなどで逮捕されている。病院から郵便局への移動手段は、郵便局付近で押収された原付バイクを利用した。

 男は自宅アパートへの放火も自供していて、県警は詳しい経緯を調べるとともに、一連の事件を起こした動機の解明を進めている。

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