冬の主役たち(2) 弓道女子 当たる再現性を手にした吉海詩七(日田2年) 【大分県】

年末年始に開催される冬の高校スポーツ全国大会。県代表として出場する高校から、注目が集まる選手個人をピックアップした。

「今年の日田は強い!」と他校の監督らに言わしめるほど弓道女子の選手層が厚い。その中で伸び盛りの選手がいる。全国高校選抜大会で個人、団体の2種目に出場する吉海詩七(2年)だ。弓道を始めて2年にも満たないが、自他ともに求める負けず嫌いが向上心に火を付け、才能が開花し始めた。

小学1年から中学3年までバドミントン一筋だったが、「もうバドミントンはお腹いっぱいだった」と新たなチャレンジを探していた。高校に入学して間もなく、部活見学で弓道部に行き、「はかま姿で矢を射る先輩の姿に憧れた」。すぐに入部を決めたが、芽が出るまでには時間がかかった。同級生には今夏の全国高校総体にメンバー入りした選手もいて、10月の県高校新人大会でも思うような結果を出せずにいたが、吉海は悔しさを飛躍の原動力にした。

個人、団体戦に出場する吉海詩七

的に当たるまで何度も弓を引き、「何が良くて、何が悪かったのかをひたすら考えた」。吉海には考える力と9年間バドミントンで築いた運動能力の土台があった。体幹が強く、姿勢がブレない。決して器用ではなかったが、矢が真っすぐ飛んだ瞬間の感覚を今も忘れない。「あっ、これだ」と直感した。感覚が残っているうちに何度も弓を引き、「当たる再現性」を手にする。ひじを後ろに引く、馬手(めて)をひねる、均等に引く、親指を押す―。吉海は自分の感覚でしか分からない「四つのルーティン」を確立した。そこから上昇気流に乗り、全国高校選抜大会の県予選でも高い的中率で出場権を手にした。

初めての全国大会となるが気負いはない。吉海は「これまで練習してきたことを出すだけ。個人戦では一本一本に集中して、会場の雰囲気にのまれないこと。団体戦はチームの流れを大切にしたい」と口ぶりにも自信が漂う。個人、団体とも予選突破を目標とし、決勝トーナメントでは「悔いなく弓を引く」ことに集中するつもりだ。

「これまで練習してきたことを出し切る」と語った

(柚野真也)

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