娘の大学入試の付き添い、仕事休んで一緒に行くつもりが過保護と言われモヤモヤ…

イラスト

 高校3年生の娘がいる40代の保育士女性からの相談です。

 「娘の大学入試で、親が試験会場まで付き添うのは過保護でしょうか。『自立のために1人で行かせなさい』と周囲の人に言われてモヤモヤしています。実は私、仕事を休んで広島市内の会場まで一緒に行くつもりでした。娘は緊張するとおなかが痛くなる体質です。電車などを乗り継いで行かなければならず、想定外のことに1人で対処できるか不安です。皆さんはお子さんやご自身の受験の際、親はどこまでサポートしましたか」

■読者の回答
★受験という大切な時期にわざわざ自立させなくても

 娘の県外の受験に付き添いました。当日、宿泊先から大学まで送り届けると、保護者の待機室が準備されており、同じように付き添う保護者がたくさんいましたよ。娘も安心して受験できたそうです。入試という大切な時にわざわざ自立させなくてもいいのではないでしょうか。(福山市・自営業女性・64歳)

★不測の事態に備え 娘は緊張でおなかの調子が…

 4年前、娘に付き添いました。不測の事態を考えてのことでしたが、案の定、娘は緊張のためおなかの調子が悪くなり、電車の乗換駅でトイレへ。電車を1本遅らせて試験には無事間に合い、付き添ってよかったと私自身が安心できました。過保護でいいじゃないですか。仕事の息抜きと思って行ってきてください。(柳井市・会社員女性・56歳)

★大学の雰囲気や周りの環境を見ることできた

 私も2人の息子の入試に付き添いました。子どもが受験中に大学生協のアパート紹介を利用し、内見をして住む部屋を押さえました。合格したら確定、不合格で無効になる仕組みです。学生が案内してくれて大学の雰囲気や、周りの環境を見ることもできました。それぞれの息子に向き合えたいい思い出です。(広島市安佐南区・会社員女性・47歳)

★ホテルや新幹線の予約など事前準備でサポート

 娘の入試のときは新型コロナの真っただ中。関東方面で乗り継ぎもあり、娘も心細そうでしたが、仕事柄付き添いはあきらめました。そこでホテルや新幹線の予約など、入試までのサポートに徹しました。いろんな関わり方がありますよ。(広島市安佐南区・保育士女性・53歳)

★うまくいかなければそれも勉強

 私自身も娘のときも、付き添いはなしでした。もちろん心配はありましたが、希望してその大学を受験するわけで、親が付いていく必要はないと思います。今後は自分の体質や、想定外のことにも対処していかなければなりません。うまくいかなければそれも勉強。笑顔で送り出してあげてください。(広島市安佐北区・自営業女性・61歳)

★大学に勤めて10年余り 付き添いの保護者増えてきた

 大学に勤めて10年余りです。受験生1人というケースも多いですが、付き添われる保護者は増えてきたように感じます。オープンキャンパスも親子連れが目立ちます。1人で受験する際も、一緒に下見するなど親子で話し合って納得する形で受験に臨めるといいですね。(広島市安佐北区・大学職員女性・42歳)

■専門家から 親子関係、縦から横へ変化
★ノートルダム清心女子大文学部(岡山市北区) 山下美紀教授(57) =家族社会学

 多くの親が受験に付き添うというのは、子どもの良き理解者としての役割を全うしようとしていることがうかがえます。中高生を対象にしたある意識調査では「悩み事を誰に相談するか」の問いに「母親」と回答した人が40年前に比べると3倍になっています。

 能力主義の社会において、親も失敗させたくないと、かなり大学受験を重要視しているのでしょう。「何でもやってあげたい」という心理が働くようです。子どもの立場で言えば交流サイト(SNS)が普及し、ネット上の振る舞いに気疲れしている傾向があります。リアルで自分を丸ごと受け入れてくれる存在が親だと認識しているようです。

 親子関係が、縦からより対等な横へと変化しています。その中では「一緒に受験」も自然な流れかもしれません。推薦やAOなど入試形態の多様化で、友達と受験日程が同じというケースが減っていることも要因の一つと考えられます。

 それぞれの親子の事情に合わせ、付き添っても子どもだけで行かせてもいいと思いますよ。

© 株式会社中国新聞社