資機材備蓄、6地域ごとに 青森県社協、災害ボランティア受け入れ迅速化へ

七戸町内に新設した倉庫に、資機材を運び込む職員
七戸町内に新設した災害復旧向け資機材の備蓄倉庫。スコップ、バケツなどの道具を保管する(いずれも県社協提供)

 青森県社会福祉協議会は、災害ボランティア向けに貸し出す資機材を県内6地域ごとに備蓄する取り組みを始めた。昨年8月の豪雨災害で、復旧作業に当たったボランティア向けの資機材を確保するのに苦慮した経験から、あらかじめ各地域で備えを進め、災害発生時の速やかなボランティア受け入れに役立てる。県社協は県生活協同組合連合会(県生協連)と連携協定を締結。県生協連は、資機材の運搬などで協力する。

 資機材を備蓄する倉庫は青森市、五所川原市、黒石市、七戸町、八戸市、むつ市に1カ所ずつ設け、11月から順次搬入を始めている。被災した住宅の片付けや、がれきの撤去に用いるスコップ、バケツ、手押し車、清掃用具、工具類などを保管する。

 被災した市町村の社協が災害ボランティアセンター(VC)を設置した際に、VCからの要請に応じて県社協が備蓄資機材を用意し、トラックなどを所有している県生協連が運搬する。最寄りの拠点の備蓄分で足りない場合は、他地域の資機材も活用する。

 昨年8月の豪雨災害では、外ケ浜、鯵ケ沢、弘前、五所川原、中泊の5市町でVCが設置された。ボランティアの実働人数が最も多かった鯵ケ沢町では、約1カ月間で累計803人のボランティアを受け入れた。1日で100人ほど参加した日もあったという。

 災害発生直後は、地域内のホームセンターなどで復旧作業の道具類を買う人が増えるため、資機材が品薄になりやすい。昨夏の豪雨でも、VCの近隣地域だけでは必要な量の道具を集めきれず、下北地方から運んで用意した経緯があった。

 県社協の木村亨地域福祉係長は「災害時の素早い被災者支援に役立てるとともに、平時からどのような備えが必要か地域のさまざまな団体同士で考え、ネットワークを広げるきっかけにもつながれば」と話した。

 県生協連は11月に県社協と協定を結んだ。備蓄資機材の運搬に加え、VCへのボランティア派遣の支援、VC運営に必要な飲み物などの物資の提供などにも協力する。三浦雅子専務理事は「資機材の運搬や、ボランティア活動の情報発信などを通じて、それぞれの地域でできる支援を進めていきたい。会員生協へ積極的に協力を呼びかけていく」と語った。

© 株式会社東奥日報社