Kurashiki Christmas Market 2023 ~ 倉敷初のクリスマスマーケットが12月15日・16日に誕生。倉敷ならではのクリスマスを味わって

12月になると街中がクリスマスムードに。

倉敷市内でもあちらこちらでクリスマスのデコレーションがされています。
多くのひとが楽しみにしている一大イベントですが、各家庭やお店の単位でしか装飾や企画がされていません。
意外とみんなでクリスマスを楽しむ機会がありませんでした。

そんな倉敷に今年(2023年)初めてお店やひとが集まるイベントが開催されます。

Kurashiki Christmas Market 2023(倉敷クリスマスマーケット2023)」という2日間限定のマルシェです。

発起人は航空会社から公益社団法人 倉敷観光コンベンションビューロー(以下、倉敷観光コンベンションビューロー)に出向しているキャビンアテンダントの市川菜美子(いちかわ なみこ)さん。

倉敷にとって初となるイベントの内容や想いを市川さんに聞きました。

Kurashiki Christmas Market 2023とは

倉敷初のクリスマスマーケットのKurashiki Christmas Market 2023。

そもそもクリスマスマーケットとは、ドイツやオーストリア発祥で中世から続く、ヨーロッパの伝統的なお祭りのこと。
伝統的なお菓子やホットワイン、雑貨などが屋台で販売され、イルミネーションで会場を彩ります。

日本では横浜や東京などの都会ではメジャーとなっているようです。

イベント概要

Kurashiki Christmas Market 2023には、こだわりを持った倉敷・岡山のお店が集まります。
飲食店や花屋、雑貨などを扱う店が出店。
ワークショップもおこなわれます。

画像提供:倉敷観光コンベンションビューロー

午後4時~午後9時の開催で夜の倉敷の町並みも共に楽しめます

会場の倉敷アイビースクエアの中庭広場には飲食店が並ぶ予定です。
本場のヨーロッパでは広場に出店が並ぶので、まさに倉敷版クリスマスマーケットと言えるでしょう。

倉敷アイビースクエアの中庭広場

アイビー学館にはワークショップができる店や雑貨販売店などが集まります。

飲食ブースもアイビー学館内に設置されるので、たくさん食べ物を買ってゆっくり食事するのも良さそう。

アイビー学館内。2023年6月、別イベント開催時に撮影

参加店舗

参加店舗を紹介します。

画像提供:倉敷観光コンベンションビューロー

倉敷観光コンベンションビューローが中心となり、複数の企業で構成された倉敷クリスマスマーケット実行委員会が主催です。

倉敷・岡山にある店舗が出店します。
なかにはマルシェへあまり出店しない店があるので要チェックです。

Kurashiki Christmas Market 2023のために用意した、クリスマスらしいフードやサービスなどが提供されます

たとえば「NGJ(LITTLE LIGHTS⦅リトルライツ⦆とGJG ESPRESSO STORE⦅ジージェイジー エスプレッソ ストア⦆の共同店)」からはクリスマスシーズンの伝統的なケーキのシュトーレンやアップルパイとコーヒーのセットを販売します。

クリスマスの定番メニューのローストチキンを販売するのは「Coq au pain(コック・オ・パン)」です。
ホットワインは「GRAPE SHIP(グレープシップ)」や「Moon grace(ムーングレース)」が提供します。

画像提供:倉敷観光コンベンションビューロー

倉敷ならではの会場と装飾

会場は、レンガと蔦(つた)が印象的な倉敷アイビースクエアです。
もともとは倉敷紡績所(現在のクラボウ)の本社工場だったものを、1974年に建築家 浦辺鎮太郎(うらべ しずたろう)の手により複合施設となりました。

イギリスの工場設計を再現したため、建物はレンガ造りです。

古いレンガは長い面と短い面を交互に積む「イギリス積み」です

レンガの壁に絡まる蔦は、温度調節のために植えられました。夏には葉っぱが生い茂り、採光窓からの直射日光をやわらげ、室内の温度を下げる役割があります。

2023年6月撮影

敷地内には洋館や噴水もあり、まるでヨーロッパのよう。

洋館と噴水の隣には巨大なメタセコイアの木がそびえ立っています。
1957年に苗木から植えられたものだそうです。

倉敷アイビースクエアの雰囲気や建物にも着目すると、よりイベントを楽しめるのではないでしょうか。

工場の名残で、屋根はのこぎり屋根です

倉敷初のクリスマスマーケットとなるKurashiki Christmas Market 2023。

仕掛け人の市川菜美子さんと、Kurashiki Christmas Market 2023の担当の倉敷観光コンベンションビューローの前岡修允(まえおか みちのぶ)さんに話を聞きました。

倉敷初のクリスマスマーケットの発起人はキャビンアテンダントの市川菜美子(いちかわ なみこ)さんです。
市川さんは現在、倉敷観光コンベンションビューローへ全日本空輸株式会社より出向しています。

市川さんとイベント担当の前岡修允(まえおか みちのぶ)さんにKurashiki Christmas Market 2023について話を聞きました。

仕掛け人の市川菜美子さんについて

──いつから倉敷に出向しているのですか?

市川(敬称略)──

2022年7月から倉敷へ出向しています。

東京を拠点にキャビンアテンダントとして国内外を飛び回っていましたが、就職して1年半経った頃に、新型コロナウイルス感染症の影響でフライトが縮小しました。

市川菜美子さん

飛行機が減便されるなか、職員は地方創成のため、日本各地へ出向するようになりました。
行き先の民間企業の職種は多種多様です。
地方創生事業のような行政的な仕事もいくつかあり、そのなかで倉敷へ一番行きたいと思いました。

幼い頃に家族と倉敷へ来たことはありますが、ほとんど記憶に残っておらず「歴史的な町並みがある」という印象だけで、私にとって倉敷はほとんど初めての地でした。
何も知らない町に行って、「これまで経験したことのない新しいことに挑戦できる」というわくわく感が、倉敷への出向に手を挙げるきっかけになりました。

引っ越したときは、知り合いや友人もいない状態でしたが、私自身食べることやいろいろなかたとお話をするのが好きなので、倉敷のさまざまなお店を巡りました。
お店で出会う倉敷出身のかたがたは、歴史や文化を大切にしていて、地元への想いが強く、「もっと倉敷が盛り上がったらいいのにな」と思われているかたが多い印象でした。

Kurashiki Christmas Market 2023の誕生は外からの視点があったから

──Kurashiki Christmas Market 2023の発想はいつからあったのですか?

市川──

去年(2022年)の秋でしょうか。

倉敷アイビースクエアでメタセコイアの木を見た瞬間に「こんな立派な木があるんだ。クリスマスツリーにしたらすごいすてきだろうな」とひらめきました。

初めは冗談めかして、「冬にメタセコイアにイルミネーションしたらいいですよね」と軽くしゃべっていたんですが、同感してくれるひとが多くて。
そこで実現に向けて、本気で考え始めました。

一方、メタセコイアの木がある場所は、少し奥まっているので、地元でも存在を知らないひとも多いようです。

私が倉敷へ訪れたひとを案内するときにメタセコイアへお連れすると、みんな「おーっ!」と感動されます。
そんな感動するものを、地元のかたにも知ってもらえたらいいのに、と思ったのがKurashiki Christmas Market 2023をするきっかけになりました。

メタセコイアのイルミネーションは莫大な費用がかかるので、予算の関係上諦めざるを得ませんでしたが、ミラーボールを使って光の演出をします。

美観地区は、昔の建物が残っているのでタイムスリップした気分になります。
和の雰囲気のなかに倉敷アイビースクエアのように洋風の建物もあって。
今まで仕事や旅行で日本各地を訪れましたが、和と洋が融合しているこの町並みがとても珍しくて、一目見たときからすごく気に入りました

すべてが初めてのイベント

市川──

まだ1年半ほどしか倉敷観光コンベンションビューローで働いていないですが、すごく多種多様な業務を経験させていただいてます。

夏以降は観光客のかたがたも増えてくるので、イベントの出展や出張に行く機会が多く、時間にあまり余裕がない毎日でした。
そのうえ、予算は決まっていないものに充てられないので、アイデアがあっても実現まではハードルが高いです。
時間も予算も、すべてが不安要素でした。

さらに私は今まで事務的な仕事をまったくしていなかったので、書類作成や企画書を作ることにも苦労しました。
書きかたも全然わからない。

とりあえず書類を作ってみたものの、5回くらいやり直して、やっと前岡さんに見てもらえる形になりました。

上司に企画を伝えるときは、「そもそもクリスマスマーケットとは何か」から説明しました。

前岡(敬称略)──

市川さんは、外からの目線で倉敷に何が足りないとか、もっとこうしたほうが良いとアイデアをすごくくれるんですよ。
それが斬新というか、我々が気づかないことに気づかせてくれて。

Kurashiki Christmas Market 2023の提案をもらったとき、すごく魅力的だと感じたので応援しようと思いました。
全日本空輸の業務とは違いますし、特に事務手続きは分かりにくいことが多いので、その部分は私ができる限り手伝おうと。
市川さんには得意分野を生かして、お店とのやりとりや企画に集中してもらおうという気持ちでいます。

私だけでなくて、周りの人みんなが「良い企画だから応援しよう」という感じです。
ぜひ成功させたいと思っています。

夜の倉敷アイビースクエア

今までクリスマスのイベントを倉敷観光コンベンションビューローでは実施していませんでした。
岡山ではクリスマスマーケットは馴染みがないですし、その発想がなかったです。
12月は観光イベントはなく、年明け以降に控える別のイベントの準備に追われる感じでしたので、市川さんがいろいろなことを気づかせてくれました。

──倉敷へ来て1年半ほどで店を集めるのは大変だったのでは?

市川──

店が集まるかは本当に不安でした

師走の忙しい時期ですし、初めてのイベントということもあり、参加が難しい店舗さんもいらっしゃるだろうと不安はありました。
でも快くたくさんの店舗さんに参加していただくことができ、感謝でいっぱいです。
仕事で関わりがあったり、個人的にも伺ったことがあったりという、ふだんからお世話になっている店舗さんがたくさん集まってくれました。
周りのサポートもあって、みんなに助けてもらいながら本番へ向けて準備をしています。

Kurashiki Christmas Market 2023への想い

──イベント当日は来場者のかたに、どのように過ごしてもらいたいですか?

市川──

みんなで一つの会場に集まって、おいしいご飯や飲みものでわいわいと楽しみながら温まって、倉敷でクリスマスの訪れを感じてもらえたらうれしいですね。
そしてこのイベントがこの先何年も倉敷に根付いてもらえたら、本当に挑戦してよかったなと思います。

岡山県内外問わずより多くのかたに、倉敷の魅力やポテンシャルが伝わり、「クリスマスといえば、倉敷だよね」と、倉敷で過ごすかたが増えてもらえたらうれしいです。

おわりに

倉敷出身の筆者は、クリスマスマーケットの存在を知ってはいたものの、倉敷で開催するという発想はありませんでした。

倉敷の雰囲気にクリスマスマーケットがぴったりだと語っていた市川さん。
外の目線を持つ市川さんならではの企画だと思いました。

取材を通し、1年半という短い期間にイベントを企画し、お店を集められる市川さん自身の魅力も感じられました。

なにもかもが初めてのKurashiki Christmas Market 2023は、みんなの協力と熱い想いで本番に向かって進んでいます
来年も再来年もイベントが続き、倉敷の定番イベントとして定着してほしいなと願いながら取材をしました。

今年の12月15日(金)と16日(土)は、倉敷初のクリスマスマーケット、Kurashiki Christmas Market 2023で、クリスマスを味わってみてはいかがでしょうか。

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