特殊詐欺、摘発連携 共同声明を採択 G7水戸会合閉幕 茨城【更新】

G7水戸会合の成果について記者会見する松村祥史国家公安委員長=10日、水戸市泉町

茨城県水戸市で8日から開かれていた先進7カ国(G7)の内務・安全担当相会合は10日、閉幕した。欧米でも被害が深刻な問題となっている特殊詐欺への対応が初めて明記された共同声明を採択。被害防止の啓発や国境を越えて活動する詐欺組織の摘発に向けて各国が連携を強化する方針を確認し、G7の結束を世界に示した。

閉会後の記者会見で松村祥史国家公安委員長は「組織的詐欺が各国で深刻な被害をもたらしている認識を共有した。犯罪組織が世界のどこにいても逃すことなく、取り締まりを徹底する強い意志を確認した」と成果を強調した。

東南アジアなどで活動する詐欺組織の拠点情報をG7各国が共有し、協力して摘発する方針を確認した。拠点が置かれやすい途上国の捜査機関を支援する。来年3月に英国で開催予定のG7各国などを集めた「国際詐欺サミット」でも議題に取り上げ、国際的な摘発機運を高める。

共同声明はこのほか、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、治安分野での支援継続を表明。生成人工知能(AI)が犯罪に悪用される可能性にも触れ、最新技術の情報収集や犯罪手口の情報共有、産業界との連携を進めるとした。

児童の性的搾取を防ぐため、交流サイト(SNS)事業者に対し、利用者の本人確認の改善や捜査機関への通報など自主的な取り組みを促すことも明記した。会合で日本側は、昨年の安倍晋三元首相銃撃事件の被告がインターネット情報を基に銃を製造した経緯を説明。ネット上の有害コンテンツの拡散防止に向けて事業者に協力を求める方針も記載した。

内務・安全相会合は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に伴う15の関係閣僚会合の一つとして開催。水戸市民会館をメイン会場に3日間の日程で開かれた。米国土安全保障省など各国治安部門の代表者、国際刑事警察機構(ICPO)事務総長らが出席。国際犯罪に関する七つの議題の意見をまとめた。

会期中は会議のほか、歓迎レセプション、視察などを開催。県や市など37団体でつくる推進組織を中心におもてなしとして、茨城県の豊かな食や伝統文化の魅力を発信した。

2023年のG7閣僚会合は今回で全て終了した。来年のG7はイタリアで開催される。

■G7水戸内務・安全担当相会合 共同声明のポイント
・特殊詐欺を含めた国境をまたぐ犯罪組織の摘発、啓発へ各国が連携を強化
・児童の性的搾取の被害防止へSNS事業者に自主的な取り組みを呼びかけ
・犯罪に悪用される可能性がある生成AI(人工知能)の最新技術の情報収集や産業界との連携を強化
・ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、治安分野での支援継続を確認

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