「誰でもよかった」殺人容疑の21歳自衛官、被害者と面識なしか 京都市東山区のマンション住人刺殺事件

マンションの踊り場で住人の岡田さんが血を流して倒れていた現場付近(4日午前1時50分ごろ、京都市東山区本町通塩小路下ル)

 京都市東山区のマンションで住人の岡田好次郎さん(82)が刺殺された事件で、京都府警捜査本部(東山署)は10日、殺人の疑いで、京都府精華町の陸上自衛隊祝園分屯地に勤務する自衛官水島千翔(ゆきと)容疑者(21)を逮捕した。水島容疑者は「(被害者と)面識はなかった。誰でもよかった」と容疑を認めており、捜査本部は動機などを追及する。

 捜査本部によると、防犯カメラ映像の解析などから容疑者として浮上。同日正午ごろ、水島容疑者が東京都港区の宿泊施設から出てきたところを確保した。所持していたリュックサックから、凶器とみられる刃渡り十数センチの包丁1本を押収した。水島容疑者は「今回、逮捕されていなければ、また人を殺すつもりだった」との趣旨の供述もしているという。

 逮捕容疑は、3日午後7時55分ごろ、東山区本町通塩小路下ルのマンション2、3階の踊り場付近で、刃物のようなもので岡田さんの背中を複数回、突き刺すなどして殺害した疑い。

 陸自宇治駐屯地などによると、水島容疑者は昨年6月から祝園分屯地で勤務。普段の勤務態度に問題はなかったという。今月2日午前8時~4日午前0時の外出許可を出していたが期限までに戻らず、行方不明届を府警に出していた。捜査本部によると、事件現場からは徒歩や電車などで逃走を図ったとみられる。調べに対し、自衛隊内のトラブルやいじめについては否定しているという。

 捜査本部の説明では、岡田さんは3日午後8時45分ごろ、血を流して倒れているところを住民に発見された。死因は背中を数回刺されたことによる失血死で、肋骨(ろっこつ)が複数折れていた。襲われた際、何らかの方法で胸に強い圧力を受けた可能性がある。岡田さんの室内は荒らされておらず、発見時に所持していた財布には数万円の現金が入っていた。

 また、事件に遭う直前の同7時45分ごろ、自宅から約400メートル離れた東山区東大路通の今熊野バス停を降車し、ビニール傘をつえ代わりにして自宅方向に1人で歩いていたことが、付近の防犯カメラなどから判明していた。

 宇治駐屯地は「隊員がこのような事案を起こしたことが事実であれば、誠に遺憾。警察の捜査に対して最大限協力する」としている。

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