茨城・日立市 自己肯定感育成に重点 教育大綱改訂

教育大綱の改訂案が報告された市総合教育会議=日立市役所

茨城県日立市は市の教育の方向性を定める「教育大綱」(2023~27年度)を改訂する。グローバル化が進む社会で自信を持って活躍できる人材を育成するため、新たに自己肯定感を育む教育に重点を置く。教員が子どもや保護者と向き合う時間を確保できるよう、デジタル化や部活動の地域移行も一層推進する。

教育大綱の基本理念は引き続き「未来を拓(ひら)く人づくり」とし、柱となる骨子は現行の大綱を継承する。改訂案は1日に市役所で開かれた市総合教育会議で報告され、教育委員から賛同を得た。

三つの柱のうち、主体的に学ぶことを掲げる学校教育では、変化の激しい時代を生き抜く学力を育むため、新たに自己肯定感を高める教育を追加。夢を描くのは楽しいと感じられるよう、子ども一人一人の良さや可能性を伸ばすことを目指す。

市が重点的に取り組む施策の方向性では、持続可能な社会の担い手を育てるために実施してきた従来の教育に加え、新たにデジタル化や環境教育の推進を盛り込んだ。

学校教育では、新聞を使ったNIE教育や電子書籍サービスを活用した読書を推進する。2023年度市内全ての小中学校の普通教室に配備した電子黒板などの情報通信技術(ICT)機器やデジタル教科書の活用も進める。

部活動の地域移行も段階的に進め、教育の質を確保する。総合型地域スポーツクラブの活動を支援するほか、県内最多のスポーツ少年団数の強みを生かして活動の受け皿を整備していくとした。

生涯学習では市民講座の充実などを掲げ、スポーツについては南部地区への施設整備なども新たに明記した。同会議で教育委員からは「予測困難な時代の中で幅広い生涯学習を展開してほしい」「コロナ禍で失われた交流やつながりを意識した取り組みが必要」などの意見が出た。

小川春樹市長は「一人一人の子どもや各家庭に寄り添う教育が基本。そのために教員の働き方改革を進めるとともに、社会全体で子どもたちを支援していく」とした。

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