〔国内〕2023年11月の災害を振り返る

2023年11月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●11月
【事故】静岡県伊豆の国市で祭りの山車が横転
[被害]死者1人 負傷者18人
2023年11月3日08:45頃、静岡県伊豆の国市田京で祭りの山車が横転し、山車に乗っていた人や周囲にいた人などが巻き込まれ、1人が死亡、18人が負傷した。山車には約10人が乗っており、周囲にも30~40人ほどの引き手を含め約60人が集まっていた。
事故当日は神社の秋祭りで、山車2台の引き廻しが行われていた。出発地点の公民館から神社に向かっていた1台が下り坂に差し掛かったところで止まれなくなり、蛇行しながら横転した。本来であれば、坂道の手前で止まってから前方で山車を引くロープを後方に回し、てこ棒を車体にかませるなどしてブレーキをかけつつ進むことになっていた。関係者の証言によると、減速の態勢を整える前に山車が下り始め、制御不能になったとみられている。

【健康安全】全国各地で集団食中毒の発生相次ぐ
[被害]死者2人 感染者115人
2023年10月から11月にかけて、全国各地で集団食中毒が相次いで発生した。
鹿児島県鹿屋市の保育施設では、10月23日に男児1名が腸管出血性大腸菌(O111)に感染したことが確認されて以降、これまでに無症状者を含めて1歳から65歳までの72人に感染が確認されている。保健所は感染源や経路を調べている。
11月15日、静岡県西伊豆町の特別養護老人ホームで、利用者と職員あわせて33人が腸管出血性大腸菌(O157)に感染したことが確認され、このうち2人が死亡した。県の調査によると、発症した全員が施設で出された給食を食べていたことから、この給食が原因の食中毒と断定し、調理業者に施設での営業禁止を命じている。
11月16日には、都内で11月11日、12日に開催されたイベントで販売されたマフィンを食べた人から、腹痛などの報告があったことが確認された。目黒区保健所によると、マフィンを食べた人から13日に「おなかが痛い」「納豆のような臭いがし、糸を引いていた」と連絡があり、15日に保健所が立ち入り検査を実施した。16日には厚生労働省が最も危険性が高い「クラス1」のリコール対象事案として公式サイトに公表した。このイベントでは約3千個のマフィンが販売されていた。
11月29日、茨城県大子町のりんご園で試食として提供されたりんごを食べた12人が腸管出血性大腸菌(O157)に感染したことが確認された。このうち3人が入院し、集中治療室で治療を受けている人もいた。このりんご園では16日から試食のりんごの提供をとりやめている。

【事故】鹿児島県屋久島沖にアメリカ軍輸送機墜落
[被害]死者8人
2023年11月29日14:40頃、アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」(CV-22)が鹿児島県屋久島の東、約1kmの沖合に墜落した。事故機には8人が搭乗しており、事故当日には乗員1人が発見された。その後、海上保安庁やアメリカ軍、地元漁業者の捜索で、12月4日には機体の主要部分と乗員5人が発見された。また、6日までに乗員8人全員の死亡が認定された。これにより、アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」の事故としては最多の死者数となった。
事故を起こした機体は山口県の岩国基地から沖縄県の嘉手納基地へ向かう途中で、事故の5分ほど前に屋久島空港管理事務所に緊急着陸を要請する旨の連絡があった。現在、アメリカ軍が事故原因を調査しており、6日には機体の問題で事故が起こった可能性があるとして、全世界で運用しているアメリカ軍の「オスプレイ」の運用を停止した。
「オスプレイ」は飛行機のような速度や航続距離と共にヘリコプターと同じような垂直離着陸機能を持つ輸送機で、その複雑な構造から機体の安全性を不安視する声もある。国内では過去、2016年12月に沖縄県名護市の海岸にアメリカ軍普天間飛行場所属の「オスプレイ」が墜落し、乗員5人のうち2人が負傷する事故が発生していた。

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