〔海外〕2023年11月の災害を振り返る

2023年11月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●11月
【自然災害】ネパール西部で地震 少なくとも157人死亡 家屋倒壊で負傷者も多数
[被害]死者少なくとも157人 負傷者155人以上
2023年11月4日03:02頃(現地時刻3日23:47頃)、ネパール西部カルナリ州で地震が発生した。アメリカ地質調査所(USGS)によると、地震の規模はM5.6、深さ約18km、ネパール当局はM6.4と発表している。震源は同州のジュムラ郡だが、実際の被害は隣接するジャージャルコート郡で特に大きく、死者・負傷者も多くは同郡で発生した。しかし、被災地は首都カトマンズから300km以上離れていることから連絡が取りにくく、死者・負傷者の数は把握しきれておらず、今後も増加する可能性がある。
現地では、耐震性の低い泥やれんが造りの建物が多く、地震の揺れでこうした建物の多くが倒壊した。実際に、地震による死者の多くは倒壊した建物の下敷きとなったことによるとみられる。また、隣国インドのニューデリーでもこの地震による揺れが観測された。
ネパールでは、2015年7月に首都カトマンズ付近でM7.8の地震が発生し、周辺諸国と合わせて約9000人の死者を出した地震も発生しており、今回の地震はそれに次ぐ規模の被害となった。

【自然災害】アイスランドで火山性地震が多発 火山噴火の可能性が高まり、政府は一時非常事態を宣言
2023年10月下旬以降、アイスランド南西部のレイキャネス半島で火山活動に伴う地震が多発している。この火山は2021年、約800年ぶりに噴火が始まり、今年11月に入り道路に亀裂や陥没が生じるなどの被害が出ていた。
11月11日には、火山噴火の可能性が高まったとして、政府は非常事態を宣言し、グリンダビークのおよそ3000~4000人の住民に対し、避難命令を出した。翌12日には約1000回の火山性地震が観測され、この段階で気象当局は「数日以内に南西部の火山が噴火する可能性が高い」との警告を出した。
その後、状況に大きな変化はないまま、地震活動は減少傾向になった。グリンダビーク市街地での噴火の可能性が徐々に低下しているのに伴い、国民保護・危機管理局は23日11:00に警戒レベルを緊急フェーズから警戒フェーズへ引き下げた。これにより、住民は申請を行えばグリンダビーク内に立ち入ることが可能になったが、28日時点でも避難命令は継続中となっている。また、温泉施設ブルーラグーンやグリンダビーク市の近郊では依然として火山噴火の可能性が危惧されている。

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