2023年のカメラ部門発表。ハンドヘルドカメラやスマートフォンの進化に注目[PRONEWS AWARD 2023] Vol.01

カメラ部門のノミネート発表

2023年のカメラ業界から振り返ろう。

2023年はフラグシップに次ぐ「準フラグシップ」クラスの新製品登場が話題の年だった。ニコンは「Z 8」、ソニーは「BURANO」や「α9 III」、パナソニックは「G9 PRO II」などを発表。ボディは小型化しつつフラグシップと同等機能の実現やフラグシップにない機能を搭載してきたりとクラス分けに遠慮のない新製品が脚光を浴びた(本AWARDは1月1日から12月31日発売の製品を対象とするため、BURANOとα9 IIIは今年の選考対象外となる)。

エントリーモデルに目を向けると、キヤノン「EOS R8」はフルサイズCMOSや約2420万画素、4K60P、フルHD180Pのハイフレームレート動画撮影に対応。価格はお手頃で小型軽量にもかかわらず「これで十分」というスペックで出てきたのは印象的だった。

スマートフォンも驚くべき進化を遂げている。「iPhone 15 Pro」シリーズはApple log、ProRes、SSD収録に対応しており、レンズ交換式カメラは不要になる時代にまた一歩近づいた気がしてならない。

まずは議論の末に選ばれたカメラ部門ノミネートは以下の通りだ。

パナソニック S5 II

発売日:2023年2月16日
希望小売価格:オープン 税込247,500円(パナソニック公式ストアの価格)

S5 IIは、カメラのキーデバイスであるエンジンとセンサーを刷新。新ビーナスエンジンは、従来機種のS5に対して演算性能は約2倍、バッファメモリーは約4倍と大幅に性能が進化している。新開発の24.2Mイメージセンサーは、LUMIX初の像面位相差AFに対応し、快適な撮影を可能としている。イメージセンサーのほぼ全域をカバーする779点の測距点を配置し、被写体までの距離を高速高精度で算出して動く被写体を捉え続けられることも特徴としている。

ソニー ZV-E1

発売日:2023年4月21日
希望小売価格:オープン 税込328,900円(ソニー公式ストアの価格)

ZV-E1はVLOGCAMシリーズだが、作品作りにも対応できるカメラだ。35mmフルサイズ裏面照射型の有効約1210万画素「Exmor R」CMOSセンサーを搭載し、4:2:2、10ビットの動画記録や15プラスストップのラチチュード(S-log3動画撮影時)に対応。常用ISO感度80から102400(静止画、動画共通)、拡張ISO静止画時:40-409600、動画時:80-409600。全画素読み出しによる4K(QFHD)の本体記録も特徴としている。

RED KOMODO-X

発売日:2023年5月17日
希望小売価格:税込1,887,600円

KOMODO-Xは、6K S35グローバルシャッターセンサーを搭載し、定評あるKOMODOの画像性能を改善。低照度性能の向上やフレームレートを2倍に向上させることにより6K80Pや4K120Pを実現する。129mm×101mm×95mm、約1.2kgの小型KOMODOフォームファクターを維持しながら、あらゆる業務のワークフローにシームレスに統合できるように改良されている。I/Oは、12G SDI、フルサイズのDC-IN、USB Type-C、ファンタム電源のロック式オーディオコネクタを搭載。内蔵の2.9インチLCDにより、シンプルな操作と画像プレビューが可能で、精密なモニタリングのためにダイレクトマウントのDSMC3 7インチタッチLCDもサポートしている。

ニコン Z 8

発売日:2023年5月26日
希望小売価格:オープン 税込599,500円(ニコン公式ストアの価格)

Z 8は、Z 9の体積を約30%削減しつつほぼ同等の機能を実現。Z 9発売時に話題になった充実の動画機能を継承しており、12bit N-RAW、ProRes RAW HQ、10bit ProRes 422 HQやH.265の高品質な映像をカメラ内に記録可能。この価格でこれほどの動画性能を実現してきたのは驚きだ。ジンバルなしでも安定した手持ち撮影ができる高い手ブレ補正効果や縦横4軸チルト式の画像モニター搭載も特徴としている。

ブラックマジック Blackmagic Cinema Camera 6K

発売日:2023年9月15日
希望小売価格:オープン 税込419,800円

Blackmagic Cinema Camera 6Kは新しいハイエンドのデジタルフィルムカメラだ。フルフレーム6Kセンサー、13ストップのダイナミックレンジ、Lマウント、低照明条件でも性能を発揮する25,600までのデュアルネイティブISO、CFexpressカードへの収録に対応。24mm×36mmの大型6Kセンサーを搭載しており、持ち運びやすい軽量な筐体で、ラージフォーマットのシネマカメラの画質が得られる。また、レンズマウントにLマウントを採用しているため、幅広い新旧のレンズを使用可能としている。

Apple iPhone 15 Pro/Pro Max

発売日:2023年9月22日
希望小売価格:税込189,800円(Appleストアの価格)

iPhone 15 Pro/Pro Maxは、ProResビデオ記録に対応。外部ストレージにも直接録画で最大4K60fpsのさらに高い撮影オプションも用意されている。iPhoneをメインカメラとして使う撮影現場により優れた柔軟性をもたらすという。さらにLogエンコードの新しいオプションも導入し、カラーワークフローの世界標準であるACES(アカデミーカラーエンコーディングシステム)規格対応も特徴としている。

富士フイルム GFX100 II

発売日:2023年9月28日
希望小売価格:オープン 税込1,270,500円(富士フイルム公式ストアの価格)

「GFXシリーズ」として初めて8K30Pや4K60Pの4:2:2 10bitでのカメラ内カード記録も可能。新センサーの搭載により、動画性能の大幅な向上を実現してきている。センサー読み出し速度の高速化、ローリングシャッター歪みの抑制により、動きのある被写体を違和感なく表現可能。また、動画でもISO100を常用感度として設定できるため、より高品質な動画撮影を可能としている。

DJI Osmo Pocket 3

発売日:2023年10月25日
希望小売価格:税込74,800円(DJI公式ストアの価格)

1インチCMOSセンサーを搭載し、複雑な照度環境下でも高画質を実現。4K/120fpsで撮影することができ、どんなシーンでも細部まで鮮明に捉えることが可能。Osmo Pocket 3のナイトショットでは画質が最適化され、暗い場所でも、鮮明かつリアルな色合いで被写体を捉えることを可能としている。

以下がカメラ部門のノミネート製品となる。

■PRONEWS AWARD 2023カメラ部門 ファイナリスト

  • パナソニック S5 II
  • ソニー ZV-E1
  • RED KOMODO-X
  • ニコン Z 8
  • ブラックマジック Blackmagic Cinema Camera 6K
  • Apple iPhone 15 Pro/Pro Max
  • 富士フイルム GFX100 II
  • DJI Osmo Pocket 3

はたして何が受賞するのか…?いよいよ発表!

PRONEWS AWARD 2023 カメラ部門 ゴールド賞

DJI Osmo Pocket 3

小型軽量を活かした日常撮影から本格的な業務撮影に対応できるだけでなく、手に持ったときの喜びやワクワク感といった心理面での価値の高さも含めてゴールド賞とした。

センサーサイズは1インチによりハイライトとシャドウの細部を鮮明に捉えられるほか、4K120フレームでの記録に対応。10ビットD-Log Mや10ビットHLGカラーモードの搭載やコンテンツの水平・垂直方向の切り替えを液晶モニターの回転で対応できるのも便利だ。Webカメラとしてとして使えたり、トラッキング機能で顔を追従してくれる点でも高い評価となった。

PRONEWS AWARD 2023 カメラ部門 シルバー賞

富士フイルム GFX100 II

「ワイド感や浅い被写界深度が特徴の中判で動画を撮りたい」「GFXにシネマレンズと組み合わせ撮影をしたい」そんな要望を実現したのがGFX100 IIだ。中判で4K60Pの撮影に対応。唯一無二の中判動画の実現でシルバー賞とした。

コーデックに関しては4Kや8Kで10ビット4:2:2のProRes内部記録に対応し、14ストップとF-log2対応によりダイナミックレンジを活かした本格的なグレーディング作業が可能。さらに新たに「Premista」「35mm」「アナモフィック(35mm)」の動画フォーマットモードを搭載し、さまざまな撮影環境に対応できる発想も受賞理由となった。

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